オーラルピース事業は、大学などの研究機関やバイオベンチャー、製品開発や薬事担当、マーケッターやクリエイター、知財担当やソーシャルベンチャー、福祉事業所や協力企業、支援行政機関や多くのサポーターにより、革新的な口腔ケア製品事業を通して日本全国の障がい者の仕事創出も図っていくプロジェクトです。
今回は、オーラルピース マウススプレー&ウォッシュの生産拠点のひとつ、新潟県の「あおぞらソラシード」についてご紹介いたします。日々生産に取り組んでいます主任の石井直明さんにレポートしていただきました。
「特定非営利活動法人あおぞら」
地域の障がい者の仕事を通した社会参加と自立を支援する「特定非営利活動法人あおぞら」(理事長:近藤 康市)は、2003年に福祉作業所あおぞら(任意団体)を設立、2008年に特定非営利活動法人となりました。
現在は、新潟県新潟市江南区天野にあおぞらポコレーション(障害者就労継続A型事業所・障害者就労継続B型事業所)と阿賀野市畑江にあおぞらソラシード(障害者就労継続B型事業所、ともに施設長:本多佳美)を運営しています。
障がいがある、ないに関係なく誰もが夢中で働いて、ワクワクできる毎日にしたい。仲間がいて、励ましてくれる人がいて、教えてくれる人がいて、挑戦できる環境があり、メンバー、スタッフともに成長し合える職場をめざして。
設立以来、職員やメンバー、保護者全員で力を合わせ、働くことが人から認められ、それが自信となり、社会とつながること、そして当然、暮しが成り立つために収入をしっかり得られる事業づくりを進めてきました。
また、本多佳美施設長を中心に、地域の福祉施設に勤める若手職員でグループ「C-netsにいがた」を作り、企業からの大きな仕事を市内の障がい者の働く各施設で分担、法人利益を超えて地域の障がい者のために、それぞれの地域で仕事と社会参加の機会を作り出すという共同受注窓口を、全国に先駆けて作ってきています。
現在、市内にあるあおぞらポコレーションでは、ペレットストーブの燃料製造、着火剤製造、木工事業、建設現場で使われるクロスウェーブ洗浄事業、養鶏作業、近隣農家での小松菜加工、アパート清掃などの仕事を行っています。
また、オーラルピースの販売事業は、2013年7月の事業スタートから数千か所ある全国の障がい者就労施設の中で一番最初に取り組み、2つの事業所は「OP0001」「OP0002」のオーラルピースパートナーナンバーになりました。
「オーラルピース マウススプレー&ウォッシュが作られる『あおぞらソラシード』」
新潟市内より車で40分。白鳥の飛来地「瓢湖」を過ぎ、五頭山麓のふもとの阿賀野市まで。大自然と豊富な名水があふれる五頭山麓は、「全国森林の森100選」にも選ばれる、とても美しいエリアです。この地に新しい施設「あおぞらソラシード」は3年前にできました。
施設の裏に湧水があふれる緑あふれるこの施設。名前のソラシードは空・シード(種)・土・ソラシド(あがっていく)という、命や可能性の循環という想いがこめられています。
施設が作られたきっかけは4年前、市内に店舗を構えていたオーガニックコスメメーカー株式会社クレコスの副社長暮部達夫さんとの出会いでした。クレコスは日本のオーガニックコスメの先駆けとして20年の歴史のあるブランド。新しい仕事として、木工事業部から出る新潟特産の越後杉のおが粉を蒸留してリネンウォーターを作ってはどうかというアドバイスからでした。
そして、以前は岩盤浴付きの保養施設として運営されていたこの五頭山麓温泉郷の建物を、化粧品製造工場として改装してオープンさせたのです。
「新潟県内初の化粧品製造業認可の取得と徹底した品質管理」
以来サポートをいただきながら、越後杉をもちいたリネンウォーター「熊と森の水」の商品化、hickory03travelersの迫一成さんをクリエイティブディレクターとした障がい者による雑貨ブランド「SpecialMix(スペシャルミックス)」の立ち上げなどを進め、暮部さんには毎月現地入りしていただき、施設での化粧品製造業認可の取得まで一丸となって進めてきました。
そして長期にわたる厳しい指導と審査の結果、薬事法に基づく施設の衛生基準や様々な基準をクリア、晴れて平成25年12月に化粧品製造業の認可を取得することができました。新潟県内では化粧品製造業の免許を取得するのはこれが初めてとのことです。
現在、生産担当メンバーは3人。植物に興味があり、手作り雑貨が好きなAさん。 コンピューターが好きで、県内の国立大学院理学研究科修了の修士Bさん。ものごとをキッチリやり上げることが得意なCさん。そして県内国立大で教員免許を取得した担当職員の石井です。
そして、日々の生産管理や技術指導は、(株)コーセーにて研究開発・技術部門の管理者を歴任された薬剤師の松枝明さんにお力を。医薬品レベルの品質管理の在り方、機械設備の使い方、製法について、薬事書類の取り扱いなど、多岐にわたり細かくご指導いただき、徹底した品質管理を追及しています。
「オーラルピースの生産開始」
2013年7月に発売された「オーラルピース」については、「SpecialMix」のブランドサポーターであった、障がい者支援団体「一般社団法人セルザチャレンジ」代表の手島大輔さんの、革新的な事業により障がい者の社会参加と収入を向上させる新しいプロジェクト「オーラルピース事業」にあおぞらも参加、いちはやく施設での販売を開始しました。
そして、さらに化粧品製造免許を取得したことで、オーラルピースの製造という新しい仕事にもチャレンジできることになったのです。
最初に取り組んだのは、「現場をどう作っていくか」です。生産計画を立て、何が課題であるのか全職員で洗い出しました。製造は3人のメンバーに担当してもらおう。包装、出荷作業部門をつくろう等々。。どうしたら衛生管理上もっとも望ましいか。体についた埃を取り、手洗い消毒をし、白衣を着て、製造現場に入る、細かな入室手順から組み立てていきました。
生産立ち上げ時には、クレコス社より暮部さん、薬事担当の家藤さん、責任技術者中川さんが現場入りし、5日間にわたり製造をご指導をいただくことに。
オーラルピースは医薬品に近い製品です。施設だからといって少しのミスも許されない。そんな緊張感とミスを出さない体制づくりをコツコツと毎日積み重ねています。
クリーンルーム内での綿密な消毒、医薬品レベルの無菌状態での生産、厳密な検査結果を経て、製品として出荷されていきます。
1日作業が終了するとメンバー全員でミーティングを行います。「今日の目標は1,000本でしたが、900本しかできなく残念でした。」「Dさんが箱の向きを揃えてくれたので、今日は1,000本なんとかできました。」目標を意識することとチームで目標をクリアする雰囲気ができてきています。最近では「明日は充填準備だから、ケース用意しておかないとだね」と動きも先回りするほどに。カイゼンが進み、現在では月産10万本も視野に入ってくるようになりました。
みなが前を向いて仕事している、これが最も担当職員としてうれしいことです。
自分が必要とされていると感じること。社会とつながっていることを実感すること。心地よい忙しさ。やり遂げた達成感は、自分と仲間にとっての自信・信頼感。働く幸せ。生きる喜び。やはり仕事って素敵だなと思います。多くのことを感じさせてくれます。
毎朝のひとりひとりの表情が締っている。真剣な面持ち。そして帰るときの汗をかきながら、ちょっとホッした顔。仕事を通して日々成長しているメンバーの姿。
愛情をこめて、真剣に取り組み、より良い製品、ブランドにできるように日々努力しています。
「商品を使ってくださるお客さまの声をメンバーに届けたい」
日々このように一つ一つの製品を、心を込めて丁寧に、一所懸命に取り組んでいます。こうして作られたものが、お客さまの手に届いた時、どう思っていただけるかを想像しながら。
出来ないことは沢山あります。でも出来ることがあります。
不器用ですが、コツコツと真剣に取り組んで、多くの人に喜んでいただけたら。
社会の中で生きていくことは簡単ではないけれど、社会に役立つ製品づくりを通して、自分の存在が認められ「人のお役に立っているね」と褒められるようになれたら。
これほど嬉しいことはありません。
そして、多くの方のお力をいただきながら、世界一の製品づくりを目指していきたいと思います。
こんな山奥の小さな工場から、そんな気持ちを多くの方にお伝えしたいです。
そして、出来ればより多くのお客さまの声をメンバーみんなで分かち合えれば素晴らしいです。
みなさまのお声をお聞かせください!
オーラルピースへのメッセージはコンタクトフォームに、オーラルピース製品のご感想はアットコスメにぜひお願いします。
オーラルピース マウススプレー&ウォッシュは、私たちが作っています。
どうぞよろしくお願いします!!