なぜ山小屋やキャンプ場では従来の歯磨き粉の使用は禁止されているのですか?
それは自然環境の微生物生態系を守るためです。
自然界の微生物を殺滅し、自然界で長期にわたって毒性を示す軽油等から作られる合成殺菌剤や、合成保存料、微生物を吸着殺菌してしまうアパタイト等を浄化設備のない山や自然の川に排出することは、自然の生物を直接殺滅する行為につながります。
また山小屋等では、下水処理場に汚水を送らず、浄化槽に飼っている微生物により汚物を分解した上で、浄化した水を自然の川に放流しています。
その役に立つ微生物を殺滅してしまうことも、環境破壊につながってしまう行為です。
そして美しい山が登山客の吐き出した白い研磨剤で汚染されていることも残念な景色です。
山に踏み入れたら人間はよそ者。
環境破壊による気候変動や自然災害が世界各地で起こっているいま。
山のルールを守って、この美しい自然環境を未来まで残すことの大切さが叫ばれています。
山やキャンプに行くときに歯磨き粉を持って行くか、いかないか?
これは毎回悩むことと思いますが、その判断は状況によります。
メリットとデメリットのバランスです。
まず、自分の口の臭さで仲間に迷惑をかけないソロ登山やソロキャンプの場合は、自身の口臭や口腔状況の悪化による免疫力・体力の低下リスクは自己責任として、持参不要と判断する。
しかし、自然界の嗅覚の鋭い野生動物が、あなたの口臭に苦しむことになります。
そして、口腔内細菌を抑制しないで、自然界に存在しないバイ菌だらけのあなたの口の中の唾を自然界に吐き出すと、土壌や水辺の微生物生態系を汚染、場合によっては自然の微生物を殺してしまいます。
登山者の汚い唾でも自然の微生物生態系が冒され、自然界が汚染されることを忘れずに。
次に食べ物について。下界から持っていった加工食品やインスタント食品を食べる場合は添加物が多く虫歯になりやすいので持参必要。現地調達で自然食のみであれば自己免疫機能により不要と考える。
しかし、自然食であっても炭水化物は糖類となり虫歯を引き起こすので、口臭や歯周病の進行とあわせて口腔環境悪化のリスクとなります。
荷物に余裕があれば、登山での歯磨き・口腔ケアに良い一品は、ニームなどの歯磨き用の木の枝があります。歯ブラシと同じくブラシ状、自然に捨てても微生物により生分解され大丈夫という優れものです。
インドやアフリカで古代から使用されている木の枝で、日本人も昔は木の枝で歯磨きをしていたのです。
しかし、抗菌作用はないので虫歯や歯周病、口臭の抑制は限定的である。最悪、楊枝でも代用できる。しかし最新の歯ブラシのほうが衛生的で清掃効果も圧倒的に優秀。
仲間と一緒に行動する時、持っていくギアに余裕があるとき、登山やキャンプも快適にちょっと贅沢に楽しみたい時は、楊枝や歯ブラシと共に歯磨きジェルも持参しましょう。
その時のために考えて作られた、世にも贅沢な登山専用の歯磨きジェルがあるならば。あるとないとではまた違う、山での感覚を得ることができます。
以上を勘案すると、登山専用に新しく研究開発された、軽量で少量で効果のある生分解性の高い抗菌成分の入った歯磨きジェルは、
擦り傷や虫刺されの患部塗布にも対応できる万能ギアとして、楊枝や軽量歯ブラシと一緒に持参するのがベストと考えられます。
最小のパッケージにすれば、数グラムに抑えることも可能です。
その数グラムと一日一回の登山者のお口のケアが、山での素敵な時間をあなたや仲間、野生動物、土壌や水場の微生物にもたらしてくれるでしょう。
山で歯磨きしたあと飲み込むか、吐き出すか。宇宙ではどうか?
下水施設のあるキャンプ場であれば、吐き出してうがいをする一択です。
しかし水場のない縦走キャンプや、浄化槽に微生物を飼って汚水を分解させている山小屋の場合はどうするか。
歯磨きしたあとの唾液を飲み込むことは、普段の生活ではないことで、少し勇気が要ります。
ただ考えてみれば、口の汚れを飲み込むのを躊躇するのであれば、常に唾液と共に口の中のものは飲み込んでいます。
そして飲み込まれた歯垢や細菌は、胃酸により消化分解されます。
飲み込むのを躊躇するのは、飲み込んでは危険なケミカル成分や合成殺菌剤、合成保存料や研磨剤、発泡剤を含む一般的な歯磨き粉の場合。
これらは体内に蓄積されると化学物質過敏症などになるリスクがあるので、吐き出すのが賢明です。
実際に、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士はどうしているかですが、ティッシュやタオルに吐き出す人も、そのまま飲み込む人もいます。
ただゴミを増やしたくないという船長の指示で、ティッシュなどのゴミを出さず、そのまま飲み込んでいるケースが多いそうです。
では山ではどうか。
ティッシュやシートに吐き出す場合でも、どうしてもフィールドにゴミを飛ばしてしまったり、不本意ながら環境汚染をしてしまうリスクは否めません。
抗菌効果が高くて飲み込んでも安全な登山用の歯磨き剤を歯磨きに使用し、そのまま気にせず唾液と共に飲み込む、自然界に吐き出すことが、環境への負荷についてリスク/ベネフィットの観点から推奨されます。
山においては、飲み込んでも・吐き出しても安全な歯磨き剤であれば、歯磨きのあと躊躇せず飲み込むか、自然界に優しく吐き出すようにしましょう。
登山・アウトドア用の歯磨き・オーラルケア製品の新たなニーズ
これまでは、登山やキャンプについては携行するギアの最少化のために歯磨き製品は持っていかない、歯は磨かない、簡単なウェットシートなどで拭う程度ということがスタンダードでした。
しかし、新型コロナウィルスの出現で分かった様に口腔というのは体の入り口や様々な感染症の入り口でもあり、
非常時である登山やキャンプにおいても口腔内を清潔に保つことは、山における体調の維持や免疫力の強化のために優先度を下げられないという医学的な考え方が先進国においては主流となってきています。
そのために、口腔内のトラブル原因菌を効果的に殺菌しながら、吐き出したら微生物により生分解される、飲み込んでも体内で消化分解される、新しい時代の歯磨き・口腔ケア製剤へのニーズがありました。
アウトドアフィールドでの「飲み込んでも安全な抗菌剤」の必要性
山でもいつもと同じ様に口の中の細菌が原因で、細菌のかたまりである歯垢(プラーク)が出来ます。
虫歯や口臭の原因は、口腔内の細菌によるものです。歯垢や歯石、口臭等を防ぐには日々の口腔ケアと、原因菌への対応が重要となります。
また一方で水がない環境や吐き出しが躊躇される場所では、飲み込んでも安全でありながら効果のある成分が必要となります。
水、植物エキスや酵素、乳酸菌自体では実際の臨床上の課題が残り、また合成殺菌剤の摂取も課題があります。
原因菌への対応と、飲み込んでも安心という相反する課題を解決する新たな製剤の研究開発が世界中から望まれていました。
20年以上に及ぶ九州大学での研究成果から2012年に発明された、トラブル原因菌にアプローチしながら、飲み込んだ場合は安全に消化分解される抗菌剤配合の製品を選ぶことが、効果と安全、環境保護の視点で賢明な選択と言えます。
飲み込んでも安全な抗菌剤についてぜひ調べてみましょう。
最新の登山・キャンプでの歯磨き・口腔ケア事情
オーラルピースプロジェクトメンバーであるMSRの国内総代理店であるモチヅキ社のカタログに、最新の山・アウトドア・キャンプでの歯磨き・口腔ケア方法について記載されています。
赤岳展望荘の支配人である杉本佳孝さんの貴重なインタビューを現場よりいただいております。
株式会社モチヅキ(Mochizuki Outdoor Tools)
新潟県三条市に本社を置く登山・アウトドアメーカー、またMSR、サーマレスト、プラティパスなど数多くのアウトドアブランドを取り扱う米国カスケードデザイン社の日本総代理店です。1950年に谷川岳に通うトップクライマーであった望月力が、市販のクライミングギアに不満を感じ、町の鍛冶屋職人と共にハーケン (登山用品)を共同開発したことを起源を持ちます。
赤岳展望荘
日本百名山である八ヶ岳の主峰、赤岳の直下にある山小屋。赤岳登山や八ヶ岳南部縦走で拠点となる有人小屋で最大200名まで泊まれる。厳冬期も営業し、一年を通して赤岳登山の基地として賑わう。標高2722メートルで湯船に浸かれる山小屋としても有名。
ぜひご覧ください。
歯科医師・歯科衛生士からのアドバイス
キャンプや登山に行く時も、歯磨き剤と歯ブラシは持参してください。
日常と違う環境では、自分自身の免疫力を高め、最高な状態にしておく必要があります。
一方で、環境に悪影響のある歯磨き・口腔ケア製品は決して山に持ち込まないでください。ケミカルフリー製品縛りでお願いいたします。
美しい日本の自然を守るということも、人類全体の利益にとってスケールの大きなSDGsアクションなのです。
自身の健康と環境への優しさは両立できる時代になりました。
アウトドア・キャンプ用、自然界で生分解する歯磨き・口腔ケア製品6分類の成長性とリスク要因は?2050年グローバル市場予測
①「甘味ジェルおよび液」
歯磨き・保湿をしやすくするために、人工甘味料と保存料、合成ポリマー、香料でできたもの
(基材・ベース、成分:アスパルテーム・ソルビトール・スクラロース・マルチトール・エリスリトール・サッカリンNa等の人工甘味料、カルボマー・ポリアクリル酸Na・ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性合成ポリマー・液体ナノプラスチック、合成香料、パラベン・フェノキシエタノール・安息香酸Na・ソルビン酸K・BG・PG・グリシン・ポリリジン等の合成保存料)
成長性:健康・環境規制されない成分のみ配合であれば低価格優位で一定のシェアを維持
リスク要因:原因菌への抗菌効果に課題、口腔内細菌対応の新技術の出現、臨床効果データや安全性データの整備、人工甘味料や合成保存料、液体ナノプラスチック等の健康や環境リスク
①に加える形で
②「ケミカルジェルおよび液」
口腔内細菌の殺菌目的で、合成殺菌剤や塩素、漂白剤、界面活性剤、その他の化学物質や化合物、抗生物質を配合したもの
(キー成分:CPC、IPMP、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、ベンザルコニウムクロリド、LSS、トリクロサン、サリチル酸、ユッカ抽出物、フェノール、クレゾール、過酸化水素、塩素、二酸化塩素、リン酸塩、ヨウ化カリウム(ヨード)、ホルムアルデヒド、アンモニア、シアン化物・青酸、農薬・殺虫剤使用成分等)
成長性:石油由来合成殺菌剤等の化学物質は代替グリーンテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:副作用や薬害訴訟リスク、微生物生態系の破壊リスク、環境汚染リスク
③「チオシアナートジェルおよび液」
口腔内細菌の殺菌目的で、口腔内の過酸化水素とラクトパーオキシダーゼやグルコースオキシダーゼ等の唾液成分を配合し、唾液成分とppm単位で化学反応させ(チオシアネート)、口腔内でシアン化様物を発生させ大腸菌の一部を殺菌させる作用機序
(キー成分:ラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸Na、過酸化水素)
成長性:シアン化様物の甲状腺や生殖機能、環境への影響から、代替グリーンテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:法規制による販売中止リスク(ex2014年欧州連合規制から2021年環境省規制準備)、薬害訴訟リスク、環境汚染リスク、少子化リスク
④「強アルカリジェルおよび液」
口腔内細菌の殺菌目的で、Ph 10以上の強アルカリ(水酸化K・苛性カリや水酸化Na・苛性ソーダ)、電解アルカリ水を配合したのもの
(キー成分:水酸化k・苛性カリ、水酸化Na・苛性ソーダ、アルカリ電解水・ph調整強アルカリ剤、塩)
成長性:苛性・粘膜損傷のない代替グリーンテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:苛性による粘膜損傷リスク、法規制、薬害訴訟リスク、環境汚染リスク
⑤「天然由来成分配合ジェルおよび液」
口腔内細菌への効果想起で、アルコール(エタノール)や自然毒の抗菌成分(植物・生物)、乳酸菌自体等を配合したもの
(キー成分:穀物エタノール、ヒノキチオール、カテキン、マスティック樹脂、セントジョンズワート精油、ウィンターグリーン精油、ティーツリー精油、植物エキス、麹エキス、漢方、アルカロイド、プロポリス、ヨーグルト、乳酸菌自体、乳酸菌培養エキス、カビ生産物、銀や亜鉛等)
成長性:代替バイオテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:植物・生物毒の臨床効果データや安全性データの整備、添加物の環境汚染リスク
⑥「乳酸菌抗菌ペプチド(バクテリオシン)ジェルおよび液」
口腔内細菌への清浄目的で、乳酸菌抗菌ペプチド(バクテリオシン)を配合したもの
(キー成分:乳酸菌抗菌ペプチド・植物エキス)
成長性:健康・環境に優しい宇宙で活用される人類に有益な発明として当該ニッチ分野で世界市場に普及
リスク要因:研究や生産におけるコスト増大と競争価格の維持、模倣イメージ製品との差別化
飲み込んでも安全成分、吐き出しても低環境負荷を志向する介護用ジェルについてはコロナ禍以前の2010年代までは③のカテゴリーが大きなシェアを占めていましたが、2014年のEU(欧州連合)による化学物質の規制を受けて、人間用は2015年にブランドオーナーシップの変更と処方変更により課題の抗菌作用機序を排したシンプルな保湿用製品に生まれ変わり①のカテゴリーとなることで一時的に①のシェアが増加、2020年代となり②と⑤については旧来ケミカル技術でオーラルケア製品を研究開発するプレイヤーは存在するが、2020年代後半の世界の消費者のフォーエバケミカル等の健康と環境に有害な化学物質や生物毒、合成保存料や合成殺菌剤等の副作用リスク、ヨーロッパから広まった高濃度フッ素化物配合製品からの回避行動によるケミカル消費財市場と旧来オーガニックコスメ製品の衰退と共に将来的に減少傾向にある、また旧来の研磨剤入りの練り歯磨き剤は知覚過敏リスクと環境リスクに加え、差別化のできない低価格競争をさらに深め将来的には全体的に衰退傾向にある、としています。
各カテゴリーの正確な市場規模、将来の成長性、健康・環境・事業リスク、各ブランドのポジションマップ、シェア、30年後の市場動向については現在調査中だが、健康リスクや環境規制が重要視される21世紀においては代替グリーンテクノロジーへの世代交代を進め、⑥のカテゴリーがメインストリームとなる、とされています。
DTC World Pets product review 2024 Health and Environment
山小屋やキャンプには臨床効果が高く、生分解性の高い歯磨き・オーラルケア製品
自然の山は微生物の宝庫です。
山小屋やキャンプ場によっては、「難分解性」の化学物質や合成殺菌剤を含む歯磨き粉の使用を禁じているところが多くあります。
その理由は、下水道が整備されていない地域は分かりやすいですが、自分たちの出した排水は自然の川にそのまま流されるか、浄化槽できれいにしてから川に流されます。
自然の川の場合は、水中に住むたくさんの微生物がその役割を果たして、環境が成り立っています。
その浄化槽には微生物が住むようにしており、体やお皿を洗った汚れた水を微生物が食べて生分解させ、水をきれいにしています。
それは都会も同じことで、下水道によって流された排水は下水処理場に集められ、そこで微生物により生分解させて、水を浄化しているのです。
口腔内の細菌を殺菌する石油由来の合成殺菌剤や合成保存料、合成界面活性剤や合成香料、また樹木の樹脂や高濃度の樹液などを含む歯みがき剤は、難分解性で生分解できない、つまり微生物が食べることができない、また微生物も殺してしまうことになります。
よって山小屋やキャンプ場、登山時には、化学合成成分を配合したオーラルケア製品の使用は禁止されているケースが多いのです。
先進国では、環境に排出されるオーラルケア製品においても、微生物生態系に影響のない「生分解性の高い製品」が注目されています。
特に高地では微生物の働きも弱いので、強いケミカル物質による環境汚染は取り返しのつかないこととなりますので、注意が必要と叫ばれています。
残された自然は大切なもの、微生物を優しく守ってあげましょう。
昔の山や川や海はもっと美しかった?
思い出の場所に行くたびに、このような寂しい思いをしたことはありませんか?
自分たちにできることで、美しい思い出の場所を他の人や次の世代にもシェアしてあげたいですね。
そして自分にとってもその場所は一生美しいままで。
自分たちにできることで、失われていく美しいものを大切に。