2020年2月クラスター発生現場での実際の歯磨き・口腔ケア支援の話
あまりクラスター発生現場での歯磨き・口腔ケアの話は珍しいことで、ネット上にもないので、実際の現場での話を支援プロジェクトの経験からご紹介します。
みなさんが気になる所は、「歯磨き・口腔ケアを徹底して口を清潔に保てば、感染予防ができるか」という点と思います。
これはケースが少ないので統計的には言えませんが、実際の経験上は「出来る」というか、出来ています。
最初のケースは初期の頃クラスターが発生した3,600名ほどが宿泊していた施設ですが、行政を通じて提供した口腔衛生ジェル製品による日々の口腔ケアの徹底で感染を押さえ込むことに寄与したと考えています。
次には、感染クラスターが発生した30名ほどが同居する入所施設ですが、主に自室待機をし歯磨き・口腔ケアを徹底して過ごした所、感染拡大を防ぎ沈静化に成功しています。
この際には当該施設長からの直接の依頼で提供したスプレー製品で、こまめに口の中を清潔に保つケアを各自で行ってもらったことが功を奏したと考えています。
2つのケースとも、現場統括者の素早い判断と口腔衛生への迅速な取り組みが感染拡大や重症化防止に貢献したと考えられ、
意思決定の早さと決定事項の質の高さが人命を左右すると実感させられました。
身の回りを清潔にして過ごすということが大切なのは当然ですが、忘れがちな歯磨き・口腔ケアについても注意を払っていくことが大切です。
新型コロナウイルス感染と歯磨き・口腔ケアについて
新型コロナウィルスは人類にとって手強い相手となりました。
変異種を生み出し、人類の免疫力・感染抑制力との戦いを続けています。
そしてやはり感染源は体の中で、体の入り口である「口」。その「口」を免疫力高く健康に保つことは、最も重要なことなのです。
手洗い消毒に加え、マスクやうがいの徹底。未知の危険には徹底的な防御が大切です。
毎日の歯磨き・口腔ケアを徹底すること、お口の異変を感じたらかかりつけの医院に早めに相談すること。
しかしそれほどストレスフルに感じず、楽観的に過ごすことも大切です。
このコロナの厳しい時代を力強く乗り切って、もうすぐ来る明るい未来を思う存分楽しみましょう。
新型コロナウイルス(COVID-19)と歯みがき・口腔ケアについての見解
オーラルピースプロジェクトは、日本にコロナウィルスが上陸した2020年当初より、横浜港に停泊していたダイヤモンドプリンセス号への支援活動はじめ、クラスター発生施設への支援活動を行っています。
このたびオーラルピースプロジェクトサポーターの田中医師からの、口腔ケアとウイルス感染予防についての関連性の見解を転載いたします。非常時のなかで多くの皆さまの健康に少しでもお役に立てば幸いです。
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口腔内は歯科医や耳鼻咽喉科・頭頚部外科医が診ることが多いと思います。オーラルピースサポートメンバーの耳鼻咽喉科医の一人として見解を述べます。
いま感染症科の領域で最近注目されているのが「なぜ歯磨き・口腔ケアをするとウイルス感染を防止ないし減少させる可能性があるのか、また重篤化を回避できる可能性があるのか?」ということだと思います。
インフルエンザウイルスを含め、ウイルスは核酸という遺伝子がカプシド(注:新型コロナウイルス(COVID-19)はエンベロープという別のタンパクにも包まれています)というタンパクのカプセルに包まれた構造になっています。
口腔内を含め腸管内の細菌もプロテアーゼ(プロテイナーゼ)というプロテイン(蛋白質)分解酵素を持っています。
不衛生な口腔環境にある口腔内にはたくさんの細菌が存在し多くのプロテイナーゼとウイルスのカプシドやエンベロープが接触します。
その結果インフルエンザウイルスをはじめとしたいくつかのウイルスはカプシドやエンベロープがタンパク分解酵素により分解されて、はじけるような状態になり、ウイルスが口腔粘膜を中心とする粘膜細胞に侵入しやすくなります。
口腔内の細菌叢を正常に保ち菌量を少なくするとインフルエンザウイルスの感染が成立しにくくなる、という理由はそこにあります。
消化器官粘膜にも侵入しやすくなるのかもしれませんが、耳鼻咽喉科医の私はその点について十分な知見を持ちあわせていません。
上記の機序から考えても、歯みがき・口腔ケアにより口腔内の細菌が減少すれば、ウイルス感染や重篤化(後述のように新型コロナウイルス(COVID-19)は未知ですが)の危険性を減少することに役立つ可能性があります。
今回のように、3,000名以上を乗せたダイアモンド・プリンセス号のような大規模クルーズ船での未知のウイルスの感染機会は、少なくとも記録の残る近現世では初めてのことだと思います。
新型コロナウイルス(COVID-19)に対する口腔粘膜を介した感染成立抑制が医学的に検証されているわけではありません。
しかし、一定の医学的根拠(エビデンス)がすでに存在すること、未知の脅威により人命に関わる緊急事態であること、などから考えてもリスク/ベネフィット比の観点からも、口腔ケアを行い口腔内を清潔に保つことは有意義なことと考えられます。
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*新型コロナウイルス(COVID-19)は未知のものであり、これまでのウイルスと異なる点があると考えられます。しかし疾患のある方や高齢の方、乳幼児などリスクが高いと思われる方のために、考えうる予防策を講じそれぞれの命を守ることに繋がれば幸いです。本コメントは医療的行為ではなく、非常時における国民の健康に資する一つの見解として公表しました。(2020.03.10. Legally checked)
口腔内細菌を殺菌剤などで減らすと免疫力は低下するか
これは難題です。
以前に京都大学による研究論文で、口腔用殺菌剤を使った洗口をすることで、免疫力が落ちて風邪の罹患率が上がったという報告がありました。
確かに、人間の口の中に多くの細菌が住んでいるのは、無意味に人類がこのように進化したわけでなく、
必要なので口や肌、腸に細菌を住まわせており、細菌のかたまりといえる人間にとって殺菌してしまうのは良くないこととも考えられます。
もしかしたら沢山の汚い強力な細菌が多ければ多いほど、外部の最近やウィルスも迎え撃ってやっつけてしまい、
体の中に敵を入れない様に機能しているのかもしれません。
でもバランスですね。
いくら親しい人でもいつも口が強く臭う様ではいただけません。
エチケットとして他の人に臭うほど、虫歯・歯周病になるほどには菌を増やさない、免疫力が下がるほどには殺菌しない、
新しい優しい抗菌剤を用いた口腔ケア製品がコロナ時代の歯磨き・口腔ケアには最適といえるでしょう。
このコロナ禍を乗り越えていくには
すぐ収束すると思っていたら長引いているこの事態。毎日のニュースを見ていても気が滅入るばかりです。
明るく気を持って、近くを散歩してみましょう。またちょっとだけ出かけてみましょう。
家の近くにこんな素敵なところがあったのに、行ったことのなかった場所や、毎日通っていたのに気づかなかった風景。
近くにも心を癒してくれる気づきがあるものです。
そしてちょっと立ち止まって、
日々の生活を見直す、食べ物を見直す、人間関係を見直す、働き方を見直す、生き方を見直す、
歯磨き・口腔ケア製品もいま一度見直してみる。
こんな機会もまた滅多にないこと。
今ある幸せをじゅうぶん感じて、ちょっと立ち止まって、楽しく気楽に過ごすのも賢く洗練された生き方です。
新型コロナウィルスの出現と歯磨き・口腔ケアにまつわる世界の変化
2020年に猛威をふるい始めた新型コロナウィルスによる衛生リテラシーの向上は、歯磨き・口腔ケア製品産業にとって好機をもたらしました。
それは衛生観念の向上と、在宅時間の増加による屋内消費、時間の創出による情報収集時間の向上など、
知識層を中心に、忘れかけていた消費財の見直しなどが進み、高付加価値・高価格帯製品に消費動向がシフトしたものと見れます。
シュリンクしていく日本国内市場環境の中での売上維持策として長期経営戦略の中でのミッションとして、
古くから事業に取り組んできた歯磨き・口腔ケアメーカーによる購買単価向上へのマーケティング戦略と現場部隊の実行力が功を奏し、
また小売パートナーの協力や宣伝単価の若干の優遇もある中で、投資レバレッジの角度も変化し、
この逆風下でチームプロジェクトは結果的に成功、褒め称えられるべき功績と思います。
日本中の全ての歯磨き・口腔ケアブランドの動向を見る中で、医療機関、流通、店舗、その他の関係者との連携により、
それぞれの個性のある企業内ブランドチームの活きいきとした真摯な取り組みを消費者の方も感じていることと思います。
今回のコロナ禍におけるグローバル市場における歯磨き・口腔ケア産業の躍進は、追い風は吹いたとしても勝手に生まれた需要ではなく、
投資レバレッジの決して高くない、どちらかといえば社会公共事業や社会インフラに近い製品の提供を、数十年にわたり続けてきた当該産業の優良企業にとって長年のご褒美の様な色彩も感じられます。
特に歯磨き・口腔ケアの重要性は、歯科医療の重要性も再周知する好機となりました。
一時は患者が離れた医院も必要性から元に戻る以上の忙しさとなり、地道な地域医療に従事してきた医療従事者もヒーローとして世界で見直されました。
そして口腔衛生リテラシーの向上は、医療費の削減や介護者の負担低減、家族の健康な日々にとっても、全ての人類にとって素晴らしいことです。
コロナウィルス騒動は大変ですが、良いことも少しもたらしました。
「家族みんなの健康には、歯磨き・口腔ケアを」
せっかくのことですから、コロナが終わっても口腔衛生リテラシーは保持する様に力を合わせて頑張りましょう。
21世紀の歯磨き・口腔ケア製品6分類の成長性とリスク要因は?2050年グローバル市場予測
①「甘味ジェルおよび液」
歯磨き・保湿をしやすくするために、人工甘味料と保存料、合成ポリマー、香料でできたもの
(基材・ベース、成分:アスパルテーム・ソルビトール・スクラロース・マルチトール・エリスリトール・サッカリンNa等の人工甘味料、カルボマー・ポリアクリル酸Na・ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性合成ポリマー・液体ナノプラスチック、合成香料、パラベン・フェノキシエタノール・安息香酸Na・ソルビン酸K・BG・PG・グリシン・ポリリジン等の合成保存料)
成長性:健康・環境規制されない成分のみ配合であれば低価格優位で一定のシェアを維持
リスク要因:原因菌への抗菌効果に課題、口腔内細菌対応の新技術の出現、臨床効果データや安全性データの整備、人工甘味料や合成保存料、液体ナノプラスチック等の健康や環境リスク
①に加える形で
②「ケミカルジェルおよび液」
口腔内細菌の殺菌目的で、合成殺菌剤や塩素、漂白剤、界面活性剤、その他の化学物質や化合物、抗生物質を配合したもの
(キー成分:CPC、IPMP、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、ベンザルコニウムクロリド、LSS、トリクロサン、サリチル酸、ユッカ抽出物、フェノール、クレゾール、過酸化水素、塩素、二酸化塩素、リン酸塩、ヨウ化カリウム(ヨード)、ホルムアルデヒド、アンモニア、シアン化物・青酸、農薬・殺虫剤使用成分等)
成長性:石油由来合成殺菌剤等の化学物質は代替グリーンテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:副作用や薬害訴訟リスク、微生物生態系の破壊リスク、環境汚染リスク
③「チオシアナートジェルおよび液」
口腔内細菌の殺菌目的で、口腔内の過酸化水素とラクトパーオキシダーゼやグルコースオキシダーゼ等の唾液成分を配合し、唾液成分とppm単位で化学反応させ(チオシアネート)、口腔内でシアン化様物を発生させ大腸菌の一部を殺菌させる作用機序
(キー成分:ラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸Na、過酸化水素)
成長性:シアン化様物の甲状腺や生殖機能、環境への影響から、代替グリーンテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:法規制による販売中止リスク(ex2014年欧州連合規制から2021年環境省規制準備)、薬害訴訟リスク、環境汚染リスク、少子化リスク
④「強アルカリジェルおよび液」
口腔内細菌の殺菌目的で、Ph 10以上の強アルカリ(水酸化K・苛性カリや水酸化Na・苛性ソーダ)、電解アルカリ水を配合したのもの
(キー成分:水酸化k・苛性カリ、水酸化Na・苛性ソーダ、アルカリ電解水・ph調整強アルカリ剤、塩)
成長性:苛性・粘膜損傷のない代替グリーンテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:苛性による粘膜損傷リスク、法規制、薬害訴訟リスク、環境汚染リスク
⑤「天然由来成分配合ジェルおよび液」
口腔内細菌への効果想起で、アルコール(エタノール)や自然毒の抗菌成分(植物・生物)、乳酸菌自体等を配合したもの
(キー成分:穀物エタノール、ヒノキチオール、カテキン、マスティック樹脂、セントジョンズワート精油、ウィンターグリーン精油、ティーツリー精油、植物エキス、麹エキス、漢方、アルカロイド、プロポリス、ヨーグルト、乳酸菌自体、乳酸菌培養エキス、カビ生産物、銀や亜鉛等)
成長性:代替バイオテクノロジーに置き換わっていく趨勢
リスク要因:植物・生物毒の臨床効果データや安全性データの整備、添加物の環境汚染リスク
⑥「乳酸菌抗菌ペプチド(バクテリオシン)ジェルおよび液」
口腔内細菌への清浄目的で、乳酸菌抗菌ペプチド(バクテリオシン)を配合したもの
(キー成分:乳酸菌抗菌ペプチド・植物エキス)
成長性:健康・環境に優しい宇宙で活用される人類に有益な発明として当該ニッチ分野で世界市場に普及
リスク要因:研究や生産におけるコスト増大と競争価格の維持、模倣イメージ製品との差別化
飲み込んでも安全成分、吐き出しても低環境負荷を志向する介護用ジェルについてはコロナ禍以前の2010年代までは③のカテゴリーが大きなシェアを占めていましたが、2014年のEU(欧州連合)による化学物質の規制を受けて、人間用は2015年にブランドオーナーシップの変更と処方変更により課題の抗菌作用機序を排したシンプルな保湿用製品に生まれ変わり①のカテゴリーとなることで一時的に①のシェアが増加、2020年代となり②と⑤については旧来ケミカル技術でオーラルケア製品を研究開発するプレイヤーは存在するが、2020年代後半の世界の消費者のフォーエバケミカル等の健康と環境に有害な化学物質や生物毒、合成保存料や合成殺菌剤等の副作用リスク、ヨーロッパから広まった高濃度フッ素化物配合製品からの回避行動によるケミカル消費財市場と旧来オーガニックコスメ製品の衰退と共に将来的に減少傾向にある、また旧来の研磨剤入りの練り歯磨き剤は知覚過敏リスクと環境リスクに加え、差別化のできない低価格競争をさらに深め将来的には全体的に衰退傾向にある、としています。
各カテゴリーの正確な市場規模、将来の成長性、健康・環境・事業リスク、各ブランドのポジションマップ、シェア、30年後の市場動向については現在調査中だが、健康リスクや環境規制が重要視される21世紀においては代替グリーンテクノロジーへの世代交代を進め、⑥のカテゴリーがメインストリームとなる、とされています。
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新型コロナウィルスと21世紀のグリーン産業革命
新型コロナウィルス騒動の水面下で、確実に機会を捉えてレガシー産業のディ・マーケティング、世代交代を演出し成し遂げたのは、
テスラモーターズをはじめとしたグリーン産業と宇宙産業でした。
これは起業家のイーロン・マスク氏の着眼はすごいという感じですが、時代が彼についてきた様です。
以前から声はあった地球温暖化のこと、海洋環境汚染のこと、地球の存続危機のこと、宇宙への人類進出のこと。
これまでは未来世紀のことと考えていたら、自分たちの時代に現実になってしまいました。
というわけで、今こそ21世紀のグリーンテクノロジーの波がとうとう来たのです。
波を待ちわびて帰った人、まだ波に乗れる状態でなかった人も、長年取り組んできてやっと波に乗れる人も。
ただ地道に自分と未来を信じて人類や地球のために本当に良いプラントベース製品を研究開発、作り続けて来た人には、時代が追いついてきたと思います。
20世紀の産業やカルチャーは人類史上最高の繁栄をもたらしました。
しかしやり過ぎた面もあり、種の存続を脅かす自然環境の変化を受けて、人類は新たな21世紀に漕ぎ出しました。
これからの21世紀、約100年間はグリーンテクノロジー・プラントベースの時代です。
次の新しい世代へと交代が進んでいく時代なのです。
既にヨーロッパをはじめとした先進国では、歯磨き・口腔ケア製品もこのグリーン・シフトが進んでいます。
世界の消費者の選択や投資マネーが、レガシー産業からグリーン産業に急激にシフトし、世界企業の時価総額もコロナ禍以降は様変わりしています。
これからの21世紀において、これら最先端のグリーンテクノロジーをどの様な形で戦略的に活用していくのか、
単なる経済モデルなのか、それとも社会モデルのグラデーションを入れるか、経済性と社会性の両立に挑戦するか、持続可能な事業にできるか、
自己の利や名声のみに使うのか、人類や地球を救うために使うのか、
はたまた、その新しい産業革命を旧来産業は邪魔して潰すのか、人類や地球のために協力して進化していくのか、
もはや旧時代のビジネスモデルた立ち位置とは全く異なる、新しい取り組みや姿勢にSDGs時代は微笑んでくれるのかもしれません。
すべてが変わりゆく今、
この地球や人類を救う最新のテクノロジーによる、
次世代の若い人材がその子供の世代のために担っていく、
小さく始まったグリーン産業革命を人類が心を一つにして推し進め、
地球や地球上の生物、そして家族の幸せのために、
大きく力強い波に乗って、美しい未来を皆で作っていきましょう。
口腔衛生と感染症予防について
体の入り口は、口。
ここから外部のものが体内に入ってきます。
入ってくるものはウィルスも含まれます。
なのでお口のケアは大切に。
それは命を守ることにもなる、とても大切な感染症対策なのです。