【日本農芸化学会の学会誌「化学と生物」にオーラルピースの学術論文が掲載されました】
〜乳酸菌由来抗菌ペプチドを利用した天然抗菌剤の技術開発〜「飲み込んでも安全な天然抗菌剤とは?」
サマリー
乳酸菌が生産する抗菌ペプチド,ナイシンAは産業界に多大な被害を及ぼす種々の有害微生物に有効であることから, 天然の安全な抗菌剤として注目されている.しかし,既存の市販ナイシンAは生産に塩析法を用いるため,純度が 2.5% と低く,応用範囲が限られている.このような背景のなか, 我々はナイシンAの医療分野への応用を目指し,1ナイシンA高生産乳酸菌の迅速スクリーニング法,2ナイシンA の大量生産法および高度精製技術,3ナイシンAを利用し た天然抗菌剤および製剤化応用技術の3つの技術開発を行った.その結果,誤って飲み込んでも人体への悪影響の少ない,安全な天然抗菌剤やそれを利用した安全な口腔ケア剤を開発することができた.
園元 謙二(Kenji SONOMOTO) <略歴>1982年京都大学大学院工学研究科工業化学専攻博士課程修了/同年同大学工学部工業化学教室助手/1990年九州工業大学情報工学部生物化学工学システム工学科助教授/1993年九州大学農学部食糧化学工学科助教授/2001年同大学大学院 農学研究院教授/2019年同大学名誉教授, 現在に至る。<研究テーマと抱負>スマート発酵工学,乳酸菌バクテリオシンなど.化学の視点で生命現象を見つめ,工学へと発展させたい<趣味>スポーツ一般(今は歩くだけ),広く浅く何事にも興味をもつ
善藤 威史(Takeshi ZENDO) <略歴>1999年九州大学農学部食糧化学 工学科卒業/2004年同大学大学院生物資源環境科学府生物機能科学専攻博士課程修了/同年同大学大学院農学研究院博士研究員/2006年同大学大学院農学研究院助手/2007年同助教,現在に至る<研究テーマと抱負>乳酸菌バクテリオシンの基礎から応用まで.広く応用を図りたい<趣味>読書,スポーツ観戦
永利 浩平(Kohei NAGATOSHI) <略歴>1995年北海道大学農学部農芸化学科卒業/2012年株式会社優しい研究所設立,代表取締役,現在に至る<研究テーマと抱負>乳酸菌バクテリオシンと天然素材を活用した研究開発.乳酸菌バクテリオシンを広めるため,さまざまなヘルスケア商品を開発したい<趣味>スポーツ,ドライブ
ぜひご覧ください!!
謝辞:本稿作成にあたり,ナイシンAの量産化技術・高度精製技術の研究でご協力いただきました九州大学大学院農学研究院の研究者・技術者の皆様に深く感謝申し上げます.また,本事業の推進において,ご助言,ご指導を賜りました鹿児島大学・小松澤均教授,松尾美樹講師,国立長寿医療研究センター・松下健二先生,東京医科歯科大学・角田愛美先生,株式会社トライフ・加古良二顧問,植田グナセカラ貴子部長ほか100人超のサポーターの皆様に深く感謝申し上げます.