なぜヨーロッパ人の方がフッ素を避ける傾向にあるのか フッ素の発明はフランスから
フッ素の発明(単離成功)はヨーロッパのフランス発といえ、フッ素の研究は1886年に単離に成功し1906年にノーベル化学賞を受賞したフランス人科学者アンリ・モアッサンが有名です。その新しいエネルギー技術で、現在も産業的地位を維持しています。
ヨーロッパでは古くから製鉄などにおいて、フッ素の原料である蛍石(フロライト)を融剤として用いられてきました。ドイツの鉱物学者ゲオルク・アグリコラは1530年に著書『ベルマヌス(Bermannus, sive de re metallica dialogus)』において、蛍石(フロライト)を炎の中で加熱し、融解させると、融剤として適切であると記しています。
1670年には、ドイツのガラス加工業者のハインリッヒ・シュヴァンハルトが蛍石(フロライト)の酸溶解物にガラスをエッチングする作用があることを発見しました。蛍石(フロライト)に硫酸を加えると発生する「フッ化水素」は1771年、スェーデンの科学者カール・シェーレが発見しました。フランスのアンドレ=マリ・アンペールは、未知の元素が蛍石(Fluorite)に含まれる可能性から、未発見の新元素に「fluorine」と名付けました。
しかし当時は世界の叡智を持ってしても、フッ素は単離できませんでした。最終的に1886年にフランスの科学者アンリ・モアッサンが単離に成功しました。白金・イリジウム電極を用いたこと、蛍石をフッ素の捕集容器に使ったこと、電気分解を**−50°Cという低温下**で進めたことが成功の鍵でした。そして、1906年にノーベル化学賞を受賞します。出典:Wikipedia
その後20世紀、1900年代のヨーロッパは、フッ化水素とフッ素化合物の発明や応用において先駆的な役割を果たしました。エネルギー、冷媒、テフロン、農薬、医薬品など、多くのフッ素関連製品が開発され世界をリードしました。
しかし21世紀に入り2000年代以降、資源枯渇や製造人件費コストの国際競争により、蛍石(フロライト)やフッ素関連製品の生産は次第に他の地域(特にアジア、中国、インドなど)に移行、ヨーロッパでは環境規制を進める政策を取りました。
今日では、フッ化水素とフッ素化合物の生産の中心は中国をはじめとするアジア諸国です。これらの国は、フッ化水素とフッ素化合物の原料である蛍石(フロライト)の豊富な埋蔵量や低コストの生産環境を背景に、世界の主要なフッ素原料と関連製品の生産国となっています。
一方で、ヨーロッパはフッ素関連製品の主要な消費国としての地位を維持しています。特に自動車、航空、医療などの産業における高機能フッ素材料の需要が高いです。ドイツとフランスのエネルギー政策は大きく異なりますが、EU全体としては現在はPFASの環境規制に力を入れています。
フッ素研究の先進国として進んだ、ヨーロッパ人のフッ素の健康リスクへの懸念
21世紀となった今のヨーロッパで、水道へのフッ素添加が広く受け入れられていない理由は、歴史的背景、健康リスクへの懸念、そして異なる公衆衛生政策に基づいています。以下がその主な要因です:
- 歴史的背景と慎重な政策
フッ素研究の先進国としてヨーロッパでは、フッ素添加水の普及が進んだ時期でも、アメリカほど積極的に導入されませんでした。フッ素の虫歯予防への効果や安全性について慎重な意見が多く、一部の研究者や政府がリスクを指摘していたため、政策として採用する国が少なかったといえます。結果として、水道水のフッ素添加はヨーロッパでは例外的な措置とされ、フッ素を直接水道水に添加しなくても虫歯予防が可能という考えが広まりました。 - フッ素の健康リスクへの懸念
フッ素が神経や骨に与える影響についての科学的研究が蓄積するにつれ、ヨーロッパではフッ素を避けるべきとする意見が強まっていきました。特に近年の研究で、フッ素の神経毒性や知能低下リスクが報告されると、一部の地域でフッ素添加を再評価したり、完全に禁止する動きが増えました。 - 欧州連合(EU)の厳しい規制
EUでは、環境や健康に関する規制が厳格であるため、フッ素についてもリスクが疑われる段階から抑制する姿勢が取られました。EUの規制に従うことで、加盟国の多くがフッ素添加水を提供せず、虫歯予防は他の方法で実現する方針が一般的です。 - 代替手段の普及と教育
ヨーロッパでは、フッ素に依存しない虫歯予防策として、歯科医による定期的なケアや食生活改善、歯磨きの普及が徹底されています。また、フッ素の代替として効果がある他の成分や技術が研究・導入され、特にフッ素フリーの歯磨き粉も一般的です。 - 消費者の健康意識
ヨーロッパの消費者は、天然素材やオーガニック製品への志向が強く、フッ素のような添加物に対しても敏感です。健康へのリスクが少しでも示唆される成分には注意を払い、選択肢があれば、より安全で自然な製品を好む傾向があります。
約40年前の1980年代後半から1990年代前半、フッ素の脳への影響に関する研究が本格化する以前、北ヨーロッパのスウェーデンにあるイエテボリ大学の研究者は、歯磨き後にフッ素を歯に長く留めることで虫歯予防効果を高める「イエテボリ法(Gothenburg Technique)」を提唱しました。この方法では、フッ素濃度1,000~1,450ppmの歯磨き粉を使用し、歯磨き後は軽く吐き出して水ですすがないことが推奨されました。
ただし、フッ素の適切な使用が求められるため、イエテボリ法は12歳未満の子供には推奨していません。さらに、スウェーデンでは現在に至るまで水道水のフッ素化は行われていない状況です。
これらの要因により、ヨーロッパではアメリカやその他の国々と異なり、水道水へのフッ素添加があまり推奨されておらず、消費者の間でもフッ素摂取を避ける傾向が続いています。そして政策面ではフロンガスやPFAS規制の推進等、フッ素関連物質への環境規制を推進しています。
虫歯予防のフッ素の原料は
日本では、虫歯予防に使用されるフッ素(Fluorine, F)の原料である蛍石(ほたるいし/けいせき、フルオライト)は、主に中国から輸入しています。
アシッドグレード蛍石(CaF₂含有率97%以上のフルオライト)は、主にフッ化水素の製造に使用される高純度の蛍石(フロライト)で、歯磨き粉や洗口液への添加など、虫歯予防に広く利用されています。
過去30年間にわたり、日本のアシッドグレード蛍石(フロライト)の主輸入元は中国です。1990年代: 日本への輸入量の約50%を占め、最大の供給国に、2000年代以降: 生産量の増加に伴い、輸入割合は約67%に達する、現在、日本のアシッドグレード蛍石(フロライト)の供給量の約60-70%のシェアを維持しています。
輸入量の推移は、1990年代: 日本全体のアシッドグレード蛍石(フロライト)輸入量は約20万トン、2000年代: 輸入量が30万トンを超える、2010年代後半: 約35万トンに達しています。出典:JOGMEC資料: 日本鉱物資源機構 (JOGMEC) – 輸入量と供給国の詳細。
虫歯予防のフッ化物の製造方法は
虫歯予防に広く使用される無機フッ化物は、工業的な方法で生産されます。その原料となるのは、自然界に存在する蛍石(ほたるいし/けいせき、フルオライト)です。フッ化カルシウム(CaF₂)を含むこの鉱物は鉱山から採掘され、粉砕された後に化学反応に利用されます。
フッ素が自然界にある元素であるからといって、濃度が薄く安全な海水や植物、生物など地上の自然界から採集する確立した技術はありません。虫歯予防のフッ化ナトリウムなどは、地底から採掘した鉱物の蛍石(フロライト)を基に化学反応で生産される化学物質なのです。
まず、フッ化カルシウムを硫酸(H₂SO₄)と化学反応させることで、フッ化水素酸(HF)が生成されます。この化学反応では副産物として硫酸カルシウム(CaSO₄)が生じます。生成されたフッ化水素酸は、無機フッ化物を作るための重要な中間体となります。
次に、フッ化水素酸を中和反応などで処理し、用途に応じた無機フッ化物を製造します。たとえば、フッ化ナトリウム(NaF)はフッ化水素酸と水酸化ナトリウム(NaOH)を化学反応させることで作られます。一方、フッ化スズ(SnF₂)はフッ化水素酸と酸化スズ(SnO₂)の化学反応によって得られます。
生成された無機フッ化物は、最終的に純度を高めるために精製されます。その後、粉末や液体など用途に応じた形態に加工され、歯磨き粉や水道水のフッ化処理に使用されます。
蛍石(フロライト)からつくられる産業上重要なもの
蛍石(フロライト)は、産業界で幅広く利用される重要な鉱物で、新しいエネルギー産業に重要なフッ化水素酸(HF)の原料として知られています。
蛍石(フロライト)は、蛍光(けいこう)を出す鉱物で、蛍光灯(けいこうとう)の発見にもつながりました。蛍光灯は英語で fluorescent lamp または fluorescent light と言います。
フッ化水素酸は、アルミニウム製造や冷媒(フロン、HFC、HFO)の生産、フッ素樹脂(例:PFAS)などのフッ素化学製品の基盤となります。また、ガラス加工や金属精錬のプロセスでも欠かせない役割を果たしています。さらに、高純度の蛍石は特殊ガラスや光学機器(例:カメラレンズ、望遠鏡)の製造にも利用され、色収差を抑える特性が求められる分野で利用されています。
鉄鋼業やアルミニウム精錬では、蛍石(フロライト)がフラックス材として使用され、不純物の除去やスラグ形成を助ける重要な役割を果たします。さらに、蛍石(フロライト)を基にフッ化水素酸と共に生産されるフッ素化学製品は、歯磨き粉や水処理、リチウム電池の電解質、半導体製造など、日常生活や先端技術の分野で欠かせません。
そのため、蛍石(フロライト)の供給不足や価格変動が産業全体に与える影響は大きく、環境規制や輸出制限が課題となっています。
蛍石(フロライト)の採掘と健康、日本での歴史
蛍石(フロライト)は美しい石で、主にエネルギー生産に用いられるフッ化水素酸 、その他フッ素化合物の原料、工業用溶剤として使用される鉱物です。
世界では、以下の地域がその主な産地として知られています。
・中国: 世界最大の蛍石(フロライト)生産国で河北省、内モンゴル自治区、浙江省、四川省、湖南省などが主要採掘地域で、地球上の蛍石(フルオライト)埋蔵量の約60%を占めています。
・メキシコ: ハリスコ州やコアウイラ州の鉱山が多く、特にアメリカ向けの輸出が盛んです。
・南アフリカ: リンポポ州などが主要地域で、品質の高い蛍石(フルオライト)を輸出しています。
・モンゴル: 中国市場向けの供給源として重要な役割を果たしています。
・スペイン: カスティーリャ・イ・レオン地域がヨーロッパの重要な産地です。
かつて日本でも蛍石(フロライト)の採掘が行われていました。特に以下の地域が採掘地として知られていました。
福島県: 安達太良山周辺。
岐阜県: 複数の鉱山が存在していましたが、現在は閉山。
北海道: 一部地域で採掘されていました。
しかし、日本の蛍石(フロライト)採掘は鉱山の枯渇と国際競争力から1960年代以降に縮小し、多くの鉱山が閉山。現在では国内での採掘は行われておらず、中国から輸入しています。
各国別の蛍石(フロライト)生産量の推移予測(単位:千トン)
年度 | 中国 | アメリカ | ロシア | インド | ブラジル | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|
1900 | 10 | 100 | 50 | 5 | 10 | 200 |
1950 | 50 | 300 | 150 | 20 | 30 | 400 |
2000 | 300 | 150 | 100 | 100 | 60 | 200 |
2025 | 1000 | 100 | 60 | 150 | 100 | 90 |
中国ではフッ素は毒 1億人以上がフッ素過剰暴露と中毒の社会問題
中国では、1980年代に広東省の一部地域で水道水へのフッ化物添加が試みられました。具体的には、広州市の芳村地区で18年間、莞城鎮で11年間にわたり実施されました。芳村地区では、フッ化物添加により永久歯のDMFT(虫歯の数)や乳歯のdftが著しく減少する効果が確認されましたが、一時的にフッ化物の過剰添加により歯牙フッ素症の問題が発生しました。一方、莞城鎮では0.6ppmの適切な濃度でフッ化物添加が行われ、歯牙フッ素症の問題は発生しませんでした。J-STAGE
フッ素の原料である蛍石(フロライト)の地球上60%の埋蔵国であり、水道水にフッ素を添加する以前に井戸水に高濃度で含まれており、環境中のフッ素による住民のフッ素中毒患者が多く、逆に如何に飲み水や食品、大気中からのフッ素暴露によるフッ素中毒を減らすかという課題があります。
2003年の日中の共同研究では、フッ素汚染地域は、飲料水としての地下水がフッ素に汚染されている地域と、フッ素含量の高い石炭や土壌を使用し、燃焼に伴う屋内フッ素汚染による暴露が起こっている地域に分けられ、これらの地域においてはフッ素汚染により、慢性のフッ素中毒である歯の形成異常(歯牙フッ素:斑状歯)と骨フッ素症(骨硬化症)が発生してるとしています。
人口13 億人の中国で、全国 32 の省、自治区、直轄市のうち、上海市を除く 31 省、自治区、直轄市において、つまりほぼ中国の全域で特定地域の住民がフッ素汚染に曝されています。その結果、日本の人口と同じくらいの約1億人の人がフッ素汚染上リスクのある地域に居住し、歯牙フッ素症患者の総数は、約 4,300 万人に上ると報告されています。
また中国は、国内に埋蔵される豊富な石炭に依存した急激な経済発展を成し遂げつつあり、このうち石炭燃焼に由来するフッ化物による「屋内汚染(屋内での石炭使用による石炭に含まれる蛍石・フッ素による吸引暴露)」は 14 の省において報告されており、フッ素の直接吸入と食品汚染を介した間接暴露によって、フッ素症が起こっています。
四川省や貴州省などの一部では、フッ素含量が 500mg/kg(500ppm) を超える調整炭を暖房や調理のため石炭ストーブで使用している地域もあり、燃焼によって高濃度のフッ素が発生し、家屋内汚染が深刻化しています。1997 年の中国衛生部の報告によると、石炭燃焼由来のフッ素症の患者は、斑状歯が 1,817万人、骨フッ素症が 146 万人に及んでいます。
以上の理由から中国では「フッ素は毒物である」とされ、人の健康にとってはフッ素は身近に無い方が良いもので、フッ素汚染地域の1億人以上の国民をどのように守るか、フッ素が元々含まれる地下水からどのようにしてフッ素を除去するのかが重要なことであり、歯磨き粉に含まれるフッ素の毒(急性・慢性中毒や神経毒性)についても歴史を通して周知しているものと思われます。
フッ素中毒による斑状歯や骨フッ素症は、治すことはできず予防するしかなく、蛍石(フロライト)の産地でありフッ素汚染の多い中国では、多くの人々を大気中や飲み水、食品、屋内での石炭使用によるフッ素暴露と中毒から守るため、フッ素の人体への健康被害や環境への悪影響について、現在では様々なフッ素化物への国内規制を講じ人々のフッ素中毒は減少していると考えられます。
規制が進む有機フッ素化合物(PFAS)と無機フッ素化化合物(フッ素、フッ素化物、フッ化物)の違いは?
フッ素(Fluorine, F)は世界で話題になっていますが、いま日本で話題のフッ素は2種あるので区別が必要と唱える人もいます。
鉱物(ハロゲン化鉱物)の蛍石(フロライト)からつくり出されるフッ素(Fluorine, F)とは、周期表の17族(ハロゲン)に属する元素で、原子番号9、化学記号Fの非金属元素です。自然界で最も電気陰性度が高い元素であり、他の物質から電子を奪う能力が非常に強力です。この特性により、フッ素は非常に反応性の高い酸化剤として知られています。
単体のフッ素(F₂)は、常温で淡黄色の有毒な気体として存在し、多くの物質と激しく反応します。自然界では単体としては存在せず、主に無機フッ素化合物(フッ素イオンを含む化合物)として蛍石(フロライト)に含まれています。
フッ素は、エネルギーに欠かせないフッ化水素酸の他、歯のエナメル質の強化や虫歯予防に利用される無機フッ素化合物(例:フッ化ナトリウム)、有機フッ素化合物(例:PFAS)として、冷媒、半導体材料、耐熱ポリマーなどを含む産業用途にも広く使用されています。
化合物とは、2種類以上の異なる元素が化学結合によって結びついてできた物質で、
有機化合物とは、「炭素(Carbon)を主成分」とし、炭素-炭素結合や炭素-水素結合を含むもの、
無機化合物とは「炭素(Carbon)を主成分としない」もの、または特定の炭素化合物です。
有機フッ素化合物(PFAS)とは フッ素がしみこんだ炭 水に溶けず永遠に環境に残る
有機フッ素化合物(PFAS)は、「フッ素(Fluorine, F)が、炭素(Carbon)と結びついた化合物」で、現在危険視されているPFOSやPFOA等の1万種類以上の化学物質の総称、水や油をはじく効果があり、熱にも強いことから、フッ素樹脂加工のフライパンや半導体、冷媒、包装紙、防水服、消火器などに幅広く使われてきました。簡単に言えば気体のフッ素がしみこんだ炭です。
有機フッ素化合物(PFAS)は、高い耐久性を持ち「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」として知られ、環境中や体内への蓄積および健康への影響が懸念されています。欧米では、1980年代までは主要生産国でしたが、1990年代からその有害性が注目されました。アメリカでは2000年にPFOSを製造していた企業が自主的に生産を中止し、EPAによる規制が強化されました。欧州連合(EU)は2006年にPFOS規制を開始し、2010年以降にPFOAを含む他のPFASを追加で規制しました。日本では全国の水道水や水源汚染が問題となっています。
有機フッ素化合物(PFAS)はアメリカで、「乳児・胎児の発育の低下」、「脂質異常症(悪玉コレステロールや中性脂肪の増加)」や「腎臓がん」などの副作用、日本の食品安全委員会では、「流産・早産」や「免疫機能の低下」、「がん」などのリスクが指摘されています。
無機フッ素化合物(フッ素、フッ素化物、フッ化物)とは フッ素がしみこんだ塩 水に溶けて永遠に環境に残る
一方、虫歯予防に用いられる無機フッ素化合物(フッ素、フッ素化物、フッ化物)は、「フッ素(Fluorine, F)が、炭素(Carbon)以外の元素(例: ナトリウム・Na、カルシウム・Ca)と結びついた化合物」で、フッ化ナトリウム(NaF)やフッ化スズ(SnF₂)などの化学物質です。アルミニウムやウランの製造過程などにも生じる高い腐食性を持つ物質で、アメリカで1950年から約70年間に渡り、虫歯予防として水道水や歯磨き粉に添加を行ってきた物質です。簡単に言えば気体のフッ素がしみこんだ塩などです。
日本の歯磨き粉で使用される無機フッ素化物(フッ素、フッ素化物、フッ化物)の表示名称は以下のようなものがあります。
・「フッ化ナトリウム(Sodium Fluoride, NaF)」:主に虫歯予防の効果を持つフッ素化合物で、多くの歯磨き粉に使用されています。
・「モノフルオロリン酸ナトリウム(Sodium Monofluorophosphate, MFP)」:同じく虫歯予防効果を持つフッ素化合物ですが、ややマイルドな特性を持っています。
・「フッ化第一スズ(Stannous Fluoride, SnF₂)」:歯の再石灰化を促進し、歯茎の健康維持にも役立つと言われていますが、日本ではあまり一般的ではありません。
無機フッ素化合物(フッ素、フッ素化物、フッ化物)は2024年9月のアメリカの最新判決で、全米3億3,000万人が利用する水道水において、急性・慢性中毒量以下の現状のフッ素添加0.7ppm水道水での子供の知能低下リスクが判決され、全米でニュースになっています。
また、虫歯予防のフッ素化物は、海の水に溶けている自然界のフッ素や植物中から採取できる確立された技術はありません。フッ素化物を含む蛍石(フロライト)からフッ化水素を作り、フッ素化ナトリウム等はその利用時に産出され生産されるものです。
つまり、有機フッ素化合物と無機フッ素化物は、まったくの別物などではなく、共に同じ蛍石(フロライト)から生み出されるフッ化物です。
なぜ人間が口に入れるものや、地球上の環境は、脱化学物質・ケミカルフリーであるべきなのか?
化学(ケミカル)物質とは、化石原料から作られる化合物のことです。化石原料とは、地球上の生き物や有機物などの物質が濃縮して石や油、ガスとなり、鉱物や石炭、レアメタルや石油など地球上で化石化し地底深くから採掘したものや、宇宙から降ってきた隕石に含まれる鉱物です。
化学とは化ける学問ともいう様に、これらの石や油やガスは化学反応を起こし、化け、燃えたり爆発したり素晴らしいエネルギーや生物を殺す殺菌作用や防腐作用、低コスト生産などを生み出すものですが、植物や生物、人間など環境には毒です。よって、人類の産業発展には必要なものですが、健康のためには使用量を減らしたり、より安全に環境にやさしい技術を開発したり、自然環境に気にしなくて良い宇宙での化学開発を進めることが、地球と人類の未来にとって良い選択と思われます。
地球上や近所では、限られた川や海の美しさを守るために、環境や健康を毒する化学物質は避けて、自然なケミカルフリーの安全なものを増やすこと、飲み水や空気や食べ物はケミカルフリーを保つことが、自分たちにとって心地よいものになると考えられます。
想像してみましょう。化石原料だらけで自然や生物がいない状況とは、火山の後の世界のようなものです。地底からマグマが化学反応で爆発し、植物や生物を焼き尽くし、水を蒸発させ、あたり一面は石に覆われた焼土です。地底で濃縮されていた毒を持つ危険な化学物質や化石原料もあり、すべての植物や生物を殺してしまいます。地球創生の焼土の地表や海水が安全になり生物が生まれるまでには何億年もかかりました。つまり地底で濃縮され落ち着いていた石油や鉱物を地上に掘り出すというのは、いまの地上の生き物には毒があるのです。よってこれ以上の地球の地底資源開発は、オゾン層の破壊をはじめ地上の人類にも存続影響を及ぼすレベルに来ていると考えられます。
一方、火山の後の世界とは宇宙の星に似ています。レアアース資源が豊富になり、オゾン層も空気も水もなく、放射能は地球上の数百倍、生物がいないので環境規制もありません。限りある緑の星の地上の自然を破壊してしまう地底資源開発はこの辺にしてもう少しで手に届く宇宙資源開発を早く進め、美しい地球上で人間が口に入れるものや地球上の生活環境は、脱化学物質・ケミカルフリーであるべきとするのが、21世紀の人類の健康や繁栄にとって賢い選択と考えられます。
フッ素に頼らなくても虫歯予防は出来る フッ素利用を開始した70年前までの伝統的で安全な人類の虫歯予防法は?
では古代からフッ素以前の70年前までの虫歯予防法は、どの様に行われたのでしょうか。以下に古代から70年前までの虫歯予防法について解説します。
1. 植物や自然素材を用いた方法
古代の人々は、自然界から得られるものを利用して歯を清潔に保とうとしました。
木の枝を使った歯磨き(チュウイッグ)
古代エジプトやインドでは、ミスワク(Miswak)やニームの枝が使われました。これらの枝には抗菌作用があり、歯を磨くことで虫歯の原因菌を抑える効果が期待されました。
薬草やハーブの利用
古代ローマやギリシャでは、ミントやセージを噛んだり煮出してうがいをすることで、口内を清潔に保ちました。アーユルヴェーダ(インド伝統医学)では、ニームの葉やクローブを噛むことで虫歯予防が行われました。
2. うがいの習慣
古代中国では、塩水でのうがいが広く行われていました。塩には抗菌作用があり、虫歯や歯周病予防に役立つとされました。日本でも、茶葉を煮出した液で口をすすぐ習慣があったと言われています。
3. 特定の食べ物の摂取
食事の工夫
古代では砂糖の摂取が少なく、自然食品が中心の食生活でした。これは虫歯リスクを減らしていました。古代エジプトやローマでは、チーズや乳製品を好んで食べることで、歯を強化していました(カルシウム補給)。
4. 灰や炭を使った歯磨き
古代ローマやギリシャでは、粉末状の骨や貝殻の灰を歯磨きの代用品として使いました。これらは研磨剤の役割を果たし、歯垢を除去しました。日本でも、木炭や焼いた卵の殻をすりつぶして歯磨きに使用する習慣がありました。
5. 噛むことで口腔ケア
硬い食材(穀物やナッツ類)をよく噛むことで、歯垢の付着を防ぎ、自然に歯を磨く効果がありました。現代と比べて加工食品が少ないため、硬い食材が歯のクリーニングに役立っていたと考えられます。
6. 宗教的・呪術的な予防
古代エジプトでは、虫歯は「虫」が原因と信じられており、お守りや呪文を使って虫を追い払う儀式が行われました。古代中国や日本でも、歯の健康を願うために寺院で祈りを捧げる文化がありました。
7. 古代日本の虫歯予防
日本では平安時代以前から、食事の後に口をすすぐ習慣がありました。江戸時代には、木の枝を加工した「歯木(はぎ)」が使われ、食事の後に歯をこすることで食べかすを取る習慣が広まりました。
砂糖が普及する、またフッ素を虫歯予防に使用開始した70年前までは、以上の様なオーラルケアで人類は発展を遂げてきました。
虫歯は甘く美味しい「糖分」摂取の副作用 虫歯菌と糖分をコントロールする安全なオーラルケアを
一方、甘く美味しい砂糖菓子が人類に広まった現代の慢性疾患ともいえる虫歯は、口腔内に存在する虫歯菌(S.ミュータンス菌)が「糖分」をエサに酸を産生し、その酸が歯のエナメル質を溶かすことで発生します。特に食品や飲料に含まれる精製糖などがこのプロセスを促進します。
虫歯菌は通常、口腔内の常在菌として存在し、口腔内フローラの一部として一定の役割を果たしています。しかし、精製された「糖分」を多量に摂取すると、虫歯菌が活性化し、大量の酸を産生。これがエナメル質を傷つけ、虫歯の原因となります。
虫歯リスクを高める食品と飲料
清涼飲料水
炭酸飲料やスポーツドリンクは、高濃度の糖分が虫歯菌のエサとなり、酸を産出しエナメル質を溶かします。
甘い菓子類
キャンディーやグミなどの粘着性の高いお菓子は、歯に長く付着し、虫歯菌が活動しやすい環境を作ります。
焼き菓子・スナック類
クッキーやクラッカーは、精製小麦粉と糖分が虫歯菌のエサとなります。
加工食品
ケーキや白パンは、大量の精製糖と小麦粉が含まれ、口腔内に糖分を供給します。
甘味飲料
果汁飲料や甘いミルクティーは、自然由来の果糖に加えて添加糖も多く含み、虫歯リスクを高めます。
その他
砂糖入りヨーグルトやアイスクリーム、ジャムも糖分が多く、長時間歯に残りやすい食品です。
成分表示名称は、
「フルクトース」、「ブドウ糖」、「果糖ブドウ糖液糖」、「ショ糖」、「砂糖」、「小麦粉」など。
虫歯予防には、以上の美味しいものを食べたり飲んだりした後には、口をゆすぎ歯を磨くことが大切です。また、ブラッシングの徹底や、飲み込んでも安全な抗菌剤を使用して口腔内フローラを整えることが効果的です。特に、オーラルピースのような自然由来の製品は、口内保湿や唾液の働きをサポートしながら、虫歯菌のコントロールに役立ちます。
大好きな甘いものの食後に、口に糖分や炭水化物を残さない歯磨き習慣で、虫歯のない健康な口腔環境が目指せます。薬品や化学物質に頼らず、適切なオーラルケアで、人間本来の口腔機能を守ることは、安心で我が子にとって賢い選択といえます。
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本件、以下の記事にまとめました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
虫歯予防のフッ素、子供のIQ低下で米規制へ。米国主要メディア報道 (最新版)
https://oralpeace.com/news/news-news/33862
参考情報
判決文:2024年9月24日
https://fluoridealert.org/wp-content/uploads/2024/09/Court-Ruling.pdf
米国国家毒性プログラム(NTP)フッ素曝露と神経発達および認知に関する科学的知見の現状に関する系統的レビュー: 2024年8月
https://ntp.niehs.nih.gov/publications/monographs/mgraph08
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今後のアメリカでの最新動向を見守っていきましょう。
愛する人にはオーラルピース