写真:CNNニュース
本件、最新版を以下の記事にまとめました。どうぞよろしくお願い申し上げます。2025年1月20日
虫歯予防のフッ素、子供のIQ低下で米規制へ。米国主要メディア報道(最新版)
https://oralpeace.com/news/news-news/33862
参考情報
判決文:2024年9月24日
https://fluoridealert.org/wp-content/uploads/2024/09/Court-Ruling.pdf
米国国家毒性プログラム(NTP)フッ素曝露と神経発達および認知に関する科学的知見の現状に関する系統的レビュー: 2024年8月
https://ntp.niehs.nih.gov/publications/monographs/mgraph08
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目次
- はじめに:虫歯予防とフッ素をめぐる70年の論争
- 米国での歴史的判決(2024年9月)の経緯とポイント
2-1. 裁判の背景と「NTP(米国国立毒性プログラム)」報告
2-2. なぜ「0.7ppm」ですら子供の脳にリスクなのか
2-3. 判決文の意義と全米の反応 - フッ素と脳・神経への影響:最新研究の概観
3-1. IQ低下リスクのデータとその蓄積
3-2. 松果体への蓄積とメラトニン分泌への影響
3-3. 子どもがフッ素を排泄しにくい理由 - アメリカのフッ素推進派 vs. 反対派:議論の核心
4-1. フッ素推進派(pro-fluoride industry)の主張と反論
4-2. 反フッ素派(anti-fluoride people)の立場と主張
4-3. 社会的・経済的格差と「自己責任論」 - ヨーロッパの事例:なぜ水道水フッ化が普及しなかったのか
5-1. 歴史的背景と公衆衛生政策の違い
5-2. オーガニック志向と“疑わしきは規制する”原則
5-3. イエテボリ法の指導理念とフッ素無配合の選択肢 - 日本の現状:アメリカの判決が与える影響は?
6-1. 歯磨き粉フッ素濃度上限の大幅引き上げと市場状況
6-2. 水道水フッ素化をめぐる温度差と今後の見通し
6-3. 「このままフッ素推進か、それとも修正か」 - フッ素には2種類ある:PFAS(有機フッ素)と無機フッ素化合物の混同
7-1. PFASとは何か:世界的規制強化の現状
7-2. 虫歯予防のフッ素(フッ化物)は別物だが…
7-3. なぜ両方とも子供の発達障害リスクが指摘される? - なぜ今「ネオナイシン e」なのか:乳酸菌抗菌ペプチドの新時代
8-1. 飲み込んでも安全な虫歯予防技術
8-2. 「フッ素に頼らない」新たなオーラルケア戦略
8-3. 投資・研究開発が加速するグリーンテクノロジーの可能性 - 歯科産業・投資・社会への大きな影響
9-1. 水道水フッ素添加がなくなると虫歯は増えるのか?
9-2. 歯科保健・歯科医院への需要はどう変わる?
9-3. IQ向上が招く社会的メリットと未来の競争力 - 歴史を振り返る:フッ素登場以前の虫歯予防と現代的課題
10-1. 古代の虫歯予防法:木の枝や塩うがいの活用
10-2. 砂糖文化と「現代型虫歯」の背景
10-3. 薬品・化学物質に頼らない「本来のオーラルケア」回帰への期待 - フッ素論争の今後の展開:法的・社会的・学術的に何が起きるか
11-1. アメリカ:バイデン政権から次期政権への移行とEPA規制強化
11-2. ヨーロッパ:引き続き非フッ素志向の公衆衛生が主流か
11-3. 日本:アメリカの裁判結果を受けた学会・歯科医師会の対応 - 結論:フッ素に代わる虫歯予防の新スタンダードを探る
12-1. 情報リテラシーと自己決定の重要性
12-2. 代替技術への期待と多様な選択肢
12-3. 子供たちの未来と“ヘルスレスポンシビリティ”
1. はじめに:虫歯予防とフッ素をめぐる70年の論争
「フッ素は歯の再石灰化を促進し、虫歯を予防する」
こう聞けば、多くの人が“安全で効果的な公衆衛生施策”として半世紀以上にわたり信じてきました。実際、1950年代以降のアメリカでは、歯科先進国として「水道水へのフッ素添加(フロリデーション)」が公衆衛生の成功例として語られ、CDC(米国疾病予防管理センター)も「20世紀の公衆衛生上の10大功績」として掲げてきました。
しかし、ここ10~20年でフッ素に関する研究が大きく進むにつれ、特に「神経発達」や「IQ低下リスク」に焦点を当てたデータが増加。カナダ、メキシコ、中国など各国の研究グループから「妊娠中の母親のフッ素曝露と子供のIQの関連」や「フッ素が脳の松果体に蓄積し、メラトニン分泌に悪影響を与える可能性」などの報告が相次ぎました。
長らく「歯の健康」を守る救世主とされたフッ素が、一転して「子供の脳と知能にダメージを与えうる」という新たなリスクを指摘され始めたのです。
その議論の転機ともいえるのが、2024年9月に下されたアメリカ連邦裁判所の歴史的判決でした。この判決により、フッ素論争はこれまでの「虫歯予防 vs. 毒性」の対立とは次元の違うレベルに突入し、全米のみならず世界各地で波紋を広げつつあります。
2. 米国での歴史的判決(2024年9月)の経緯とポイント
2-1. 裁判の背景と「NTP(米国国立毒性プログラム)」報告
米国では環境保護庁(EPA)が、虫歯予防を目的とした水道水へのフッ素添加を長年推進し、その安全基準を設定してきました。しかし2017年頃から、フッ化物に反対する市民団体「フッ化物アクションネットワーク(FAN)」や研究者らが、**「フッ素は子供の脳に神経毒性を及ぼす可能性がある」**として法廷闘争を展開。裁判所は長期間にわたり、さまざまな研究データを検証してきました。
その裁判のキーポイントになったのが、**米国国立毒性プログラム(NTP)がまとめた「フッ素曝露と神経発達に関する系統的レビュー」報告です。NTPは500本以上の研究を精査したうえで、“高濃度フッ素に限らず、子供の脳機能に悪影響を及ぼす可能性がある”**という見解を示し、さらに「現行の推奨濃度(0.7ppm)の水を日常的に飲用する子供の中にもリスクがある」と言及しました。
2-2. なぜ「0.7ppm」ですら子供の脳にリスクなのか
アメリカで「最適」とされてきたフッ素濃度は0.7ppm(1Lあたり0.7mg)です。これは数字だけ見ると“ほんの微量”ですが、ここにいくつかの落とし穴があります。
- 複数経路からのフッ素摂取
水道水だけでなく、炊飯やスープなど調理にも使われることで、思った以上にフッ素を蓄積する可能性があります。 - 子供や乳幼児の排泄能力が未成熟
腎機能がまだ十分に発達していないため、摂取したフッ素を効率的に排泄できず、体内や脳内に蓄積しやすい。 - 超微量でも脳・神経系には長期的に影響が及びうる
フッ素は急性毒性においては安全域が広いものの、脳やホルモン系への影響は過去の基準では十分に評価されていなかった。
2-3. 判決文の意義と全米の反応
2024年9月24日、カリフォルニア北部地区連邦裁判所(エドワード・チェン判事)は、「0.7ppmでも子供のIQに不当なリスクをもたらす」と明確に指摘し、EPAに対してフッ素の再評価と規制策定を義務付けました。
これは公衆衛生の世界で一大事件と言っても過言ではありません。水道水フロリデーションを「20世紀の公衆衛生トップ10の偉業」と称えてきたアメリカ政府自身が、法廷でその有害リスクを認める形となったからです。
判決直後から、フッ素に懐疑的だった自治体では水道水フッ素添加中止の投票や決議が一気に進み、フロリダ州やテキサス州など20を超える地域ですでに停止、さらに60以上の都市・郡がこれに続く見込みと報じられています。
またロバート・F・ケネディ・ジュニア氏など政界有力者が「次期政権が就任初日にフッ素添加を中止するよう推奨する」旨を発言し、米国内では賛否両論が激化。一方でCDCや米国歯科医師会は依然「科学的根拠が不十分」と反論を続けており、今後の展開が注目されています。
3. フッ素と脳・神経への影響:最新研究の概観
3-1. IQ低下リスクのデータとその蓄積
フッ素摂取とIQの関連研究は、1990年代から少しずつ報告されていましたが、当時は主に「高濃度地域」での調査が中心でした。しかし2000年代以降、より低濃度(1.5ppm以下)でも神経毒性を示唆するエビデンスが増加し、2019年のカナダ研究では「妊婦の尿中フッ素濃度が子どものIQと反比例する」との結果が大々的に報じられました。
2024年NTP報告書においては、**「中等度の確信度で子供のIQを下げる可能性がある」**と結論づけられています。これらの論文は必ずしも100%の因果関係を断定したわけではありませんが、「懸念を抱くには十分な量と質の研究蓄積がある」とも評価されました。
3-2. 松果体への蓄積とメラトニン分泌への影響
フッ素が脳内において特に蓄積しやすいのが「松果体(しょうかたい)」という部位です。ここは体内時計を調節するホルモン「メラトニン」を分泌し、睡眠リズムや免疫機能にも深く関わります。
イギリスのジェニファー・ルーク博士が1990年代後半から示した研究によると、フッ素はカルシウムやリン酸塩とともに松果体を石灰化させる性質があり、その結果としてメラトニン分泌が低下し、不眠や概日リズム障害、さらにはアルツハイマー病や認知症リスクの増大が懸念されています。
3-3. 子どもがフッ素を排泄しにくい理由
小児の腎臓は、大人と比べてろ過率や再吸収機構が未発達です。そのためフッ素摂取量のうち80~90%が体内に保持されるともいわれ、骨や脳、歯牙、松果体へ蓄積します。
大人の身体では摂取したフッ素の約50~60%が尿中排泄されるため、慢性毒性への懸念がやや少ないとされていましたが、一方で乳幼児や胎児は「防御力が低い」「脳の発達途中である」というダブルリスクがあるのです。
4. アメリカのフッ素推進派 vs. 反対派:議論の核心
4-1. フッ素推進派(pro-fluoride industry)の主張と反論
- 「20世紀の公衆衛生トップ10」
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が長年そう公言し、多くの歯科医師・公衆衛生学者が水道水フッ素化により虫歯率が劇的に下がったと評価。 - 「コスト効果が高い手法」
低所得層にも等しく恩恵が行き渡る仕組みで、少量のフッ素添加が社会全体の歯科治療費を抑制する。 - 「反フッ素は一部の陰謀論だ」
抗議活動やインターネット上の噂を「陰謀論」として片付け、科学的とは認めない傾向がある。
しかし、この推進派の論理構造は過去のデータや急性毒性の面だけに基づいているとの批判が強いです。
「虫歯予防の効果は歯磨き指導や食生活改善でも達成可能」「フッ素による歯の斑状歯や骨硬化は昔から問題視されており、脳や神経への研究はなおさら後追いになる」といった反論があります。
4-2. 反フッ素派(anti-fluoride people)の立場と主張
- 「神経毒性が見過ごせないレベル」
IQ低下リスクや発達障害への影響を、近年の論文やNTP報告、裁判判決を根拠として訴える。 - 「選択の自由が奪われる」
水道水に添加してしまえば、飲まない選択肢がない人も出てくる。所得や居住地域によって浄水器を買えない人は強制的にフッ素摂取させられる。 - 「フッ素歯磨き粉は1ドルで買える」
実際、個人が歯磨き粉などから必要ならばフッ素を得られるため、なにも水道水に一律添加する必要はないのではないかという声。
4-3. 社会的・経済的格差と「自己責任論」
アメリカ社会において議論が白熱しているのは**「人権の問題」**でもあります。水道水を飲むしか選択肢がない低所得層が、フッ素添加を嫌でも受け入れざるを得ない状況に疑問を投げかける声や、子供の能力(IQ)が低下すれば将来の所得格差につながりかねないという懸念もあり、フッ素をめぐる公衆衛生政策が「格差を固定化しているのではないか」との批判まで出てきています。
5. ヨーロッパの事例:なぜ水道水フッ化が普及しなかったのか
5-1. 歴史的背景と公衆衛生政策の違い
フッ素の単離で1906年にノーベル賞を受賞したフッ素先進国のヨーロッパでは、アメリカほど水道水へのフッ素添加は広がりませんでした。最大の要因は**「フッ素安全性に対する懐疑と慎重姿勢」**です。多くの国がフッ素添加を法律で禁止しているわけではないものの、導入を検討した段階で「効果に対するエビデンスの限界」や「強制的な添加は倫理的に問題がある」という観点から、ほとんどの国が見送りました。
5-2. オーガニック志向と“疑わしきは規制する”原則
EUは科学的不確実性がある場合、「予防原則」に基づき厳しく規制する習慣があります。例えば食品添加物、農薬、化学物質など多岐にわたりアメリカより厳しい基準を敷いている国も多い。オーガニック志向の消費者が多いことも重なり、「水道水への化学物質添加」に強い抵抗がある国柄といえます。
5-3. イエテボリ法の指導理念とフッ素無配合の選択肢
北欧のスウェーデンでは歯磨き粉にフッ素を利用する「イエテボリ法」が従来推奨されてきましたが、水道水へのフッ素添加はほぼ行われていません。しかもイエテボリ法も**「12歳未満の子供には推奨しない」とするなど、慎重な姿勢が際立ちます。
それでもスウェーデンを含む北欧諸国の虫歯率は世界でも低い水準を維持しており、「必ずしもフッ素添加でなくとも、虫歯予防は可能」**という実例として語られることが増えています。
6. 日本の現状:アメリカの判決が与える影響は?
6-1. 歯磨き粉フッ素濃度上限の大幅引き上げと市場状況
日本では2010年代に入ってからフッ素配合歯磨き粉の規制緩和が進み、2017年に成人用で最大1500ppmまで、2023年には乳幼児用でも1000ppmまでが認可されました。これによりドラッグストアには高濃度フッ素配合製品が溢れるほどになっています。
一方、水道水へのフッ素添加は全国的にはほとんど普及せず、一部自治体で試験導入程度にとどまっているのが現状です。
6-2. 水道水フッ素化をめぐる温度差と今後の見通し
米国は「フッ素添加の本場」ですが、その米国自身が今回の裁判で見直しを迫られています。日本におけるフッ素添加推進の根拠は、アメリカや海外の研究・エビデンスに依拠してきたため、今後「国際的にフッ素の安全性が疑問視される」流れが進めば、日本国内でも水道水フッ素化を主張する勢力は一段と弱まる可能性があります。
6-3. 「このままフッ素推進か、それとも修正か」
今後、子供への高濃度フッ素使用をどの程度推奨し続けるのかという課題が浮上します。
すでに世界の潮流は「フッ素を絶対否定するわけではないが、少なくとも妊娠中や乳幼児への濃度管理は慎重であるべき」と動いており、日本でも同様の議論がいずれ活性化するでしょう。
7. 話題のフッ素には2種類ある?:PFAS(有機フッ素)と無機フッ素化合物
7-1. PFASとは何か:世界的規制強化の現状
「フッ素」と聞くと、多くの人がPFAS(ペルフルオロアルキル化合物)を思い浮かべるかもしれません。テフロン加工、消火剤、防水スプレーなどに使われる有機フッ素化合物で、土壌や水を永久的に汚染し“フォーエバーケミカル”と呼ばれています。
米国やEUで規制強化が進み、日本でも水道水や食品汚染が社会問題化しているPFASですが、「虫歯予防の無機フッ素(フッ化物)」と同じ「フッ素系の化合物」で、かつどちらも子供の発達障害リスクを指摘する声があり、ややこしくなっています。
7-2. 虫歯予防のフッ素も蛍石(フロライト)から作られるフッ化物
虫歯予防に用いられるのは主に**無機フッ素化合物(NaF, MFP, SnF2 など)**です。一方、環境問題で話題のPFASは炭素鎖とフッ素が結合した有機フッ素化合物です。
とはいえ、無機フッ素化合物も骨や脳への蓄積リスクがあり神経毒性が指摘されている点は共通するため、アメリカでは鉱物の蛍石(フロライト)から生産される、「フッ素全般への規制」という包括的な流れが生まれつつあります。
7-3. なぜ両方とも子供の発達障害リスクが指摘される?
鉱物の蛍石(フロライト)から生産される、有機フッ素・無機フッ素ともにフッ素元素を含み、非常に電子陰性度が高く、タンパク質や酵素反応に干渉しやすい性質があるといわれます。脳やホルモン系は微量の化学物質に影響されやすいため、**「低濃度であっても長期曝露する場合には安全とは言い切れない」**とする研究が多数出てきたのです。
8. 新たなう蝕予防のグリーン技術
8-1. 飲み込んでも安全な虫歯予防技術
フッ素に代わる安全な虫歯予防技術として、近年注目されているのが日本の国立研究機関発の乳酸菌抗菌ペプチド等です。中でも「ネオナイシン e」は、乳酸菌が産生するナイシンを改良し、口腔内のう蝕(虫歯)原因菌や歯周病菌を選択的に殺菌することができる技術です。
従来の抗菌剤は人体への毒性や耐性菌リスクなどの課題がありましたが、ネオナイシン eは乳酸菌由来でヒトに安全性が高いため、飲み込んでも問題ないとされています。
8-2. 「フッ素に頼らない」新たなオーラルケア戦略
ネオナイシン eは歯磨き粉やマウスウォッシュとして製品化が進んでおり、赤ちゃんや妊婦、経口摂取リスクが気になるユーザーを中心に支持を広げつつあります。
フッ素配合品が市販であふれる一方、こうしたナチュラル系の抗菌ペプチド製品はまだ割高ですが、アメリカの裁判以降「フッ素フリー」「ノンケミカル」なオーラルケアを求める消費者が増えると予想されるため、今後ニーズが拡大しそうです。
8-3. 投資・研究開発が加速するグリーンテクノロジーの可能性
世界的なESG投資やSDGsの機運を背景に、**「人体と環境に優しいグリーンテクノロジー」**への資金が集まりやすくなっています。
ネオナイシン eは乳酸菌と発酵技術をベースにしたバイオサイエンス領域であり、医療・バイオベンチャーなどが興味を示しています。フッ素に代わる技術が世界標準になり得るかどうかは、今まさに大きな転換期といえます。
9. 歯科産業・投資・社会への大きな影響
9-1. 水道水フッ素添加がなくなると虫歯は増えるのか?
フッ素推進派は「フッ素添加をやめれば虫歯が激増する」と懸念を示します。実際に、過去にカナダなど一部地域で水道水フッ素化をやめた直後、一時的に虫歯が増加したという報告もあります。
しかし、ヨーロッパのようにフッ素添加を行っていなくても虫歯率が低い国はあり、「こまめなブラッシング指導や食生活改善、歯科受診の充実」で代替できる事例も多数。要はトータルでどうオーラルケアを行うかがカギとなります。
9-2. 歯科保健・歯科医院への需要はどう変わる?
- フッ素塗布を重視していた歯科医院は方針転換の可能性
保護者のフッ素離れが加速するなら、歯科医院はフッ素以外の本来の虫歯予防策(ブラッシングや食事指導など)を強化せざるを得ない。 - 虫歯治療需要は増加するかもしれない
万一フッ素添加が中止されれば、短期的には虫歯数が増える可能性もあり、歯科治療の需要が高まるかもしれない。 - 健康・教育産業への波及
長期的に子供のIQや学力が向上すれば、教育関連サービスや学習塾、ひいては大学・企業にとってもメリットになる可能性があると語る専門家もいます。
9-3. IQ向上が招く社会的メリットと未来の競争力
フッ素によるIQ低下リスクが本物であれば、逆にフッ素曝露を減らすことで子供たちの知能が高まり、生産性・創造性の向上につながるという見方も一部で注目されています。
もちろんまだ仮定の話ではありますが、国家の将来にとって子供の脳を守ることは極めて重要な課題であり、イノベーションや産業競争力にも直結するため、無視できない視点でしょう。
10. 歴史を振り返る:フッ素登場以前の虫歯予防と現代的課題
10-1. 古代の虫歯予防法:木の枝や塩うがいの活用
虫歯は、人類が糖分を摂取し始めたときから存在していたといわれます。古代エジプトでは、ミスワク(Miswak)やニームの枝を歯磨き代わりにしていた記録があり、日本でも塩水や灰、炭を利用したうがい・歯磨きが行われていました。
こうした自然由来の方法は、化学物質に頼ることなく、口腔内を清潔に保つ工夫として長い歴史を持ちます。
10-2. 砂糖文化と「現代型虫歯」の背景
20世紀以降、精製糖が安価かつ大量に消費されるようになり、清涼飲料水・菓子類などに多量の糖分が含まれるようになりました。その結果、歯垢(プラーク)中のミュータンス菌が酸を産生しやすくなり、虫歯が増加。フッ素はその「酸蝕」を防ぐ手段として脚光を浴びたわけです。
しかしながら、**本来の原因である“糖分の過剰摂取”**を制限し、適切にブラッシングをすれば、必ずしもフッ素に頼らずとも虫歯を防げるという意見は、フッ素登場当初から存在していました。
10-3. 薬品・化学物質に頼らない「本来のオーラルケア」回帰への期待
「フッ素は便利だが、その副作用やリスクが顕在化したいま、元々の虫歯予防の原点に回帰すべきだ」という声が、先進国を中心に再燃しています。
たとえば、安全性が高い抗菌ペプチドの活用、甘味の摂り方を見直す食育、正しい歯磨き習慣の徹底がそろえば、薬品的なフッ素に過度に依存しなくても「虫歯になりにくい口腔内環境」を作ることは十分に可能でしょう。
11. フッ素論争の今後の展開:法的・社会的・学術的に何が起きるか
11-1. アメリカ:バイデン政権から次期政権への移行とEPA規制強化
2024年の判決は、現バイデン政権下で行われたものであり、連邦判事エドワード・チェン氏が下した判断を、EPAがどのように受け止めるかが注目されます。そこへもし次期トランプ政権が誕生すれば、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が中心となって「全国水道システムからのフッ素除去を推奨する」といった発言も現実味を帯びてくるわけです。
EPAは少なくとも、改めてフッ素摂取量の推奨基準を見直し、新たな規制を整備せざるを得なくなっており、アメリカのフッ素政策は激動期を迎えています。
11-2. ヨーロッパ:引き続き非フッ素志向の公衆衛生が主流か
ヨーロッパは従来から水道水フッ素化に積極的ではありません。今回のアメリカ判決によって、あらためて「やはりフッ素はリスクがある」というヨーロッパの慎重姿勢が裏付けられる形になり、各国は引き続きフッ素に依存しない虫歯予防策を推し進めるでしょう。
むしろEUレベルでの化学物質規制強化の一環として、無機フッ素化合物へのさらなる規制が協議される可能性も出てきています。
11-3. 日本:アメリカの裁判結果を受けた対応
日本は、虫歯予防策としてフッ素塗布や高濃度フッ素歯磨きを推奨する動きが少なくありません。しかしアメリカの裁判の影響と各国の流れを受けて、**「安全性の再評価」「妊婦や乳幼児への使用について注意喚起」**が進むかもしれません。
12. 結論:フッ素に代わる虫歯予防の新スタンダードを探る
12-1. 情報リテラシーと自己決定の重要性
フッ素を「絶対危険」「絶対安全」と短絡的に決めつけるのは危ういものがあります。急性毒性や骨硬化リスクだけで語られていた頃の「安全基準」は、脳への影響やIQ低下リスクを十分考慮したものではありません。
今は情報を主体的に集め、メリットとデメリットを天秤にかける必要があり、SNSやメディア、歯科医師会、研究者などさまざまな立場の情報を比較する「情報リテラシー」が問われています。
12-2. 代替技術への期待と多様な選択肢
- ネオナイシン e
フッ素に代わる安全な抗菌ペプチドとして期待大。既に製品化が進行中で、今後普及のカギを握る。 - ブラッシング指導・食育
甘い物や精製糖の過剰摂取をコントロールし、適切に歯を磨くことで、フッ素なしでも虫歯はかなり予防できる。 - 歯科医院での定期健診・フッ素以外のケア
シーラント(歯の溝を樹脂で塞ぐ)、オゾン治療、レーザー治療など、他の技術も活用可能。
12-3. 子供たちの未来と“ヘルスレスポンシビリティ”
少子化が進む中、一人ひとりの子供の健康と成長をいかに守るかは、社会の未来に直結する大きな問題です。フッ素をめぐる議論は単なる虫歯予防策にとどまらず、子供の脳と発達、その先の教育・経済・国際競争力にまで波及しうるからこそ、一部では“ヘルスレスポンシビリティ(Health Responsibility)”という言葉も用いられています。
**「大切なわが子の健康を守るのは親自身であり、最新情報を得ながら最良の選択をする責任がある」**という意識がさらに浸透すれば、フッ素論争に限らず、農薬や食品添加物、化学物質全般への目が厳しくなる可能性があります。
【あとがきにかえて】
2024年9月の米国連邦裁判所による歴史的判決は、70年にわたるフッ素添加政策の“成功神話”に大きな亀裂を入れました。「フッ素の安全性」を信じていた人にとっては衝撃的な出来事かもしれませんが、一方で「やはり脳への影響があるのではないか」と疑ってきた研究者や市民団体にとっては、“ようやく日の目を見た”という感想でしょう。
水道水フロリデーションという“集団曝露”の是非が問われる中で、フッ素に依存しない虫歯予防策として乳酸菌抗菌ペプチド「ネオナイシン e」などのグリーンテクノロジーが台頭する流れは、今後ますます強まると予想されます。
欧米の投資家がこれらの新技術に注目し始めた背景には、フッ素問題だけでなく「SDGs・ESG投資」「消費者の健康志向」「法的リスクの増大」など複合的な要因があります。
もちろん、フッ素を完全に否定すべきという主張には慎重にならねばなりません。急性中毒や骨硬化のリスクはごく微量であれば低いのも事実ですし、何よりも長年にわたって虫歯予防効果を示した歴史もあるからです。今後求められるのは、一律添加というやり方を改め、個人の自己決定で使用量やタイミングをコントロールする方向かもしれません。
いずれにしても、この判決を機に、水道水フッ素添加の廃止や子供用フッ素歯磨き粉の使用基準見直し、さらにアメリカ歯科医師会や米国保健福祉省(HHS)による新ガイドライン策定など、大きな制度変更が起きる可能性があります。日本を含む他国への影響も時間の問題でしょう。
世界が少子高齢化を迎える中で、“子供の脳”という極めて大切な資産を守るための選択が、歯科医療・公衆衛生政策の未来を根底から変える――そんな歴史的転換期が、いままさに訪れていると言えそうです。
参考文献・情報源(抜粋)
- Court Ruling (2024/09/24). カリフォルニア北部地区連邦裁判所 エドワード・チェン判事 文書
- NTP (2024). “Systematic Review of Fluoride Exposure and Neurodevelopmental and Cognitive Health Effects.”
- Fluoride Action Network (FAN). 訴訟関連資料・研究リスト
- CDC (Centers for Disease Control and Prevention). “Achievements in Public Health, 1900–1999: Fluoridation of Drinking Water to Prevent Dental Caries.”
- Jennifer Luke (1997). “The effect of fluoride on the physiology of the pineal gland.”
- WHO & EU Reports on PFAS regulation, 2000年代以降の欧州における化学物質管理
- カナダ・メキシコの母子研究 (2019年~2023年) “Maternal Urinary Fluoride Exposure and Child IQ”
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参考情報:日本独自の最新研究経過(出典:文部科学省 KAKEN: 科学研究費助成事業データベース 抜粋)
*フッ素曝露の神経系への影響:感受性を考慮した検討
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K10612/
研究機関:防衛医科大学校 医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛
研究期間 (年度) :2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード: フッ素 / 神経毒性 / 二世代 / 行動学試験 / ラット / F1動物 / 成長抑制 / オープンフィールド試験 / PPI test / 尿管結紮 / 飲み水 / 体重変化 / 感受性 / 環境汚染
*妊娠期低濃度フッ素曝露による自閉症行動の検討
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K07808/
研究機関:順天堂大学 医学部
研究期間 (年度) :2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード: フッ素 / 発達機能障害 / 行動試験 / 自閉症スペクトラム症 / 神経伝達物質 / ふっ素 / 自閉症スペクトラム障害 / ASD / 妊娠期曝露
その他の日本のフッ素暴露と脳や神経への影響研究
https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=%E3%83%95%E3%83%83%E7%B4%A0%E3%80%80%E8%84%B3%E3%80%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C
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今後のアメリカでの最新動向を見守っていきましょう。
愛する人にはオーラルピース
*米国ニュースメディア等の情報ソースへのお問い合わせは、ご興味のある方が各自で行っていただけます様お願いいたします。